私たちがほとんど毎日食べているお米。けれど、生活の中に当たり前にあるものだからこそ、実は知らないことも多いもの。おいしい炊き方や上手な保存方法など、知っているようで知らない話を、お米に魅了されて新聞記者から米農家に転身し、現在は「お米ライター」として活躍する柏木智帆さんが綴る。

文・写真=柏木智帆

吸水が足りないと硬くなりやすい

猛暑の夏が過ぎ、行楽シーズンがやってきました。お弁当やおむすびを持って紅葉を見に出かけたり、ピクニックを楽しんだりと、屋外ランチが楽しい季節です。学校や会社にお弁当やおむすびを持参している人も、たまにはオフィスや部屋から外に出て食べてみてはいかがでしょうか。

今回は、お弁当やおむすびに使うごはんを炊くコツや、ごはんが冷めた状態で食べるお弁当やおむすびのメリットについてお伝えします。

しっかり吸水させたお米は炊飯でしっかり熱が入る
しっかり吸水させたお米は炊飯でしっかり熱が入る
この記事の画像(5枚)

お米は炊飯前にしっかり吸水させることが大切ですが、お弁当やおむすびなど冷めてから食べる前提の場合は、よりしっかりと吸水させる必要があります。吸水が足りないと、特に冷めたときに硬くなりやすくなってしまうのです。冷蔵庫の中で6時間以上吸水させるといいでしょう。

「レジスタントスターチ」って?

温かいごはんに比べると、冷めたごはんは“カロリーオフ”になると言われています。

その理由は、冷めたごはんには「レジスタントスターチ」が比較的多く含まれているから。レジスタントスターチは「体内で消化されないでんぷん」のことで、「難消化性でんぷん」とも呼ばれます。

かつてでんぷんはすべて小腸で消化されるものと考えられてきましたが、このレジスタントスターチは消化されずに大腸まで運ばれることが明らかになっています。このでんぷんが大腸に届く割合は食物繊維よりも高いそうです。そのため、たくさん食べても同量の温かいごはんに比べて実際の摂取カロリーは少し減ると言われています。