私たちがほとんど毎日食べているお米。けれど、生活の中に当たり前にあるものだからこそ、実は知らないことも多いもの。おいしい炊き方や上手な保存方法など、知っているようで知らない話を、お米に魅了されて新聞記者から米農家に転身し、現在は「お米ライター」として活躍する柏木智帆さんが綴る。

文・写真=柏木智帆

当たり前の方針に戻っただけ

高市早苗新政権で初入閣した鈴木憲和農相に対して「現場のことをわかっている」と評価する稲作農家が多いと感じています。

一部報道では、前政権時の「増産」から「減産」への方針転換だと言われていますが、現場目線では「需要に応じた生産」という当たり前の方針に戻ったというのが実感です。

高市政権になり「必要に応じた生産」へ(イメージ)
高市政権になり「必要に応じた生産」へ(イメージ)
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令和の米騒動は緊急事態でした。この後始末を進める一方で、私たちが将来にわたって日本のお米を食べ続けるために、食糧安保についてさまざまな観点から考える必要があります。

お米が不足して買い取り価格が高くなったことで、主食用米の作付けが増えました。まだ予測段階ではありますが、2026年6月末時点の民間在庫は最大で229万トンになると試算され、適正水準を超えるとされています。一方で、酒米や加工米などが不足している状況で、酒蔵や味噌蔵などがお米の調達に困っているという声も聞かれます。

小泉前農相との方針の違い

そんな中、高市政権が「減産」に方針転換したと言われています。しかしながら、鈴木農相の説明には単純な「減産」という表現もニュアンスもありません。