甘くて美味しいチョコレート。しかし近年、カカオの供給不足により価格が上がっている。

そんな中、カカオに代わる原材料を使った“チョコレート風のお菓子”が登場しているのを見聞きしたことはないだろうか。「代替チョコレート」とも呼ばれるのだが、実際に食べてみると、味も風味も、その違いが分からないほどだった。

カカオを使わずにどうやってチョコレートの味に近づけているのだろう。そんな素朴な疑問を、実際に商品を製造・販売している不二製油株式会社の開発担当者、石渡暁之さんに聞いた。

カカオ不使用の「代替チョコレート」

代替チョコレートの大きな特徴は、原料にカカオを“使っていない”こと。

コンビニや一部スーパーなどでは、カカオの代わりに“ヒマワリの種”や“ゴボウ”などの原料を使った商品が売られている。各企業がさまざまな原料を用いて独自の技術で開発、チョコレートに近い味わいを表現しているのだ。

「アノザM」(画像提供:不二製油)
「アノザM」(画像提供:不二製油)
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不二製油では2025年、エンドウ豆などを使用した「アノザM」という商品を発売。業務用として、洋菓子店などで使われている。

チョコレートの製造過程は?

そんな代替チョコレートは、通常のチョコレートとは材料が異なるだけで、製造工程は基本的には変わらないのだそう。そこでまず紹介したいのが、チョコレートそもそもの作り方。

チョコレート(画像はイメージ)
チョコレート(画像はイメージ)

石渡さんによると、チョコレートの基本材料となるのが、カカオをローストしてすりつぶした“カカオマス”。このカカオマスから「油脂」となる“ココアバター”を抽出し、残った固形物を「粉末」にしたのが“ココアパウダー”だ。これらに砂糖などを加えて混ぜたものが一般的に見るチョコレートになるという。

滑らかな口溶けを担う「油脂」

「チョコレートを表現するうえで重要なポイントになっているのが、油脂と粉末です」と、石渡さん。