産業用ロボットの導入も
(3)産業用ロボットの導入による製造プロセスの改革
当時抱えていた経営上の課題として人件費などの固定費の増大がありました。2019年には44名いた外国人技能実習生を新型コロナウイルス感染症が広まったタイミングで、契約満了をもって更新しない形で、少人数に絞り、産業用ロボットを展開しているファナック株式会社の工場の視察に行き、産業用ロボットの導入によって、製造プロセスの自動化に取り組んでいきました。
最初はロボット活用が成功するかどうかについては半信半疑だったそうで、ここでもまずはスモールスタートで進めます。
従業員の中で今までロボットを触ったり、またオペレーション用のプログラミングなどの経験を持った方はいなかったので、まず1台だけ導入し、トレーニングプログラムを受講し、まず2名体制で伴走支援をもらいながら、進めていったそうです。
ここでも、最初に抜擢されたロボットオペレーターは、もともと品質管理部で働いていた方で、リスキリング支援をファナックのサポートをもらいながら進めています。
2025年現在では、産業用ロボットの導入台数は20台を超え、製造プロセスの自動化率は50%を超えるに至っているそうです。特にこのロボット導入の成功が、労働生産性を2倍に引き上げる大きな要因になっているのです。
(4)事業ポートフォリオ転換を実現する自社食器ブランドの開発
前述のような企業改革を推し進めながら構想を練っていたのが、自社ブランドによる「樹脂(プラスチック)の新しい価値提案」だったそうです。金沢市のデザイン事務所Secca(セッカ)と一緒に新しいブランド創造に取り組んでいきます。
3Dデジタル技術を活用して、複雑な木目模様や波を打った形状のデザインを作り出し、4年の準備期間を経て、2020年3月、ついにARASという自社ブランドの食器事業の販売が開始します。