「棺に十円玉を入れないで」と、北海道・札幌市が異例の呼びかけです。

その背景に何が?

故人への最後の贈り物として、火葬する際に棺に入れる花や思い出の品。
そうした副葬品について、札幌市が注意を呼びかけています。

札幌市保健福祉局・藤田賢一さん:
火葬件数がどんどん増えていく中で、副葬品による障害は無視できない。

高齢化に伴い火葬件数が増加する中、市内の火葬場では金属類など、本来制限されている副葬品を棺に入れるケースが増えているといいます。

中でも、特に苦慮しているのが十円玉です。

札幌市山口斎場・妻木治支配人:
火葬すると(10円玉などが)溶けて、台座になっているベッドに付着する。火葬炉を傷めたりとか、耐久性が衰えて取り換える頻度が多くなる。

骨の変色につながる他、溶けた十円玉が火葬炉に付き、取りづらいのだといいます。

では、なぜ十円玉を棺に入れるのか。
背景にあったのは、地域特有の風習でした。

札幌市民に聞いてみると、「さんずの川の渡し賃という形で入れる風習がある。実際に入れていると思う」「(親が亡くなった時)10円玉入れましたね。お守りとして持ってた」といった答えが。

“さんずの川の渡し賃”として棺に入れたり、火葬後に残った10円玉をお守りにする風習が根強く残っているというのです。

市はこれまでも役所の窓口などで注意喚起をしてきましたが、今回、新たにイラスト入りのチラシを作成。

安全な火葬に協力してほしいと呼びかけています。