睡眠時間も十分に取れているのに、眠いし疲れが取れない。そう思って早く寝たりしてもなかなか睡眠に手応えがない。
そんな人は、寝ている間も含めて、全身の筋肉が常に緊張状態にあるのかもしれない。
心療内科医・森下克也さんの著書『「月曜の朝がつらい」がなくなる本』(三笠書房)から、よく寝たのに身体も頭も重いという研究職・Eさんのケースと簡単睡眠術を一部抜粋・再編集して紹介する。
研究職Eさんのケース
研究職のEさんは、いつも実験のことばかり考えています。寝床に入っても眉間にしわを寄せ、腕を組みながら考えています。
寝つきが悪いわけではありません。途中で目も覚めませんし、いびきもかきません。
睡眠時間は6時間で、決して短いわけでもありません。それでもなぜか、目の覚めた直後からEさんは疲れているし、身体が重いのです。

そのせいか、1日中だるく、何をするにも億劫(おっくう)で活発に動き回ることができません。やるべきことは頭ではわかっていても、身体がついていきません。
Eさんは近所の内科にかかってみました。すると、「うつ病」と診断されてしまいました。
でも、Eさんは納得がいかないのです。気持ちが落ち込んではいないし、むしろ実験への意欲は旺盛です。もちろん、処方された抗うつ薬を口にすることはありませんでした。
クリニックを訪れたEさんを目の前にして、私は眉間の皺(しわ)がとても気になりました。深々とした縦皺を数本刻み、とても神経質そうです。