仕事に携わるなかでスキルを得られたり、自ら学んで取得したスキルもあるだろう。しかし、変化の激しい今の時代、そのスキルが「一生もの」とは限らないという。
リスキリングの第一人者である後藤宗明さんの著書『AI 時代の組織の未来を創るスキル改革 リスキリング【人材戦略編】』から、スキルの寿命について一部抜粋・再編集して紹介する。
「スキル寿命」を把握が大事
変化の激しい現代におけるスキルマネジメントにおいて重要なことは、スキル寿命を理解した上で、自社に必要なスキルを確保することです。
スキルは「獲得すれば一生もの」というわけではなく、技術革新や社会構造の変化によって、求められるスキルは常に入れ替わっており、実はスキルは、新しく生まれたところから需要がなくなるところまで、のライフサイクルがあるのです。
誕生から消滅のライフサイクル
(1)新しいスキルの誕生
新しいデジタル技術や社会の変化により、新たなスキルが誕生し、少しずつ必要とされ始める段階です。まだ一部の先進企業や専門家しか注目しておらず、求人や教育の場にもほとんど登場していない、いわば「兆(きざ)し」の時期です。

(2)スキル需要の成長
社会的な関心が高まり、スキルが多くの人に知られるようになります。研修や資格制度が整備され、求人にも記載され始める時期であり、スキル習得がキャリアアップの鍵となります。
(3)スキル需要の成熟
スキルが広く普及し、「持っていて当たり前」とされる段階です。教育機関でも標準的に教えられ、業務における基本スキルとして組み込まれます。保有者が増える一方で、差別化要因としての価値は低下していきます。