暑い夏は海水浴や川遊びのシーズン。家族で出かけたら、気を付けたいのが水難事故だ。
近年の年間の水難者数は約1500人で、発生場所は海と川が8割以上を占めるという。少しの油断と準備不足が危険につながってしまうのだ。
そうならないため、命を守る知識と備えを、公益社団法人「日本水難救済会」の理事長・遠山純司さんに教えてもらった。
家族の命を守る3つのポイント
遠山さんは、家族で海や川に行くなら「意識してほしいことが3つある」と話す。

1つ目は、常に子供と一緒にいること。子供はちょっと目を離した隙に溺れることが多く、親がスマホに熱中したりして、見守りができていないケースが目立つという。
「子供が泳ぐなら、親もライフジャケットを着て手が届く場所にいる。溺れそうになったらすぐに対処することが大切です」

2つ目は、ママ・パパポジションの徹底。子供が流されても受け止められる位置のことで、大人は海では「子供よりも沖側」に、川では「子供よりも下流側」にいるのが原則だ。
「大人は水温、水深、水流、波の高さも確認し、安全に遊べるかを判断しましょう」

3つ目は、見通し線(トランジット)を決めておくこと。海に入った自分から見て、「海岸に直角な方向」と「横方向」それぞれを見通せる場所に、目印となるものを2つ決めておこう。
「自分の位置を把握していないと、知らないうちに遠くへ流される可能性が高くなります。目印を見つけ、それらを目安に沖に流されていないかチェックしながら遊びましょう」
■水辺で遊んではいけない「タイミングと場所」の見分け方はこちらの記事へ
「泳げる」油断が事故を引き寄せる
そして、水難事故は「大丈夫だろう」という油断から引き起こされるともいう。日本水難救済会も関わる「海のそなえプロジェクト」の調べでは、海や川で溺れたケースの約半数は、プールで25m以上泳げる人だったそうだ。
「海や川は波や流れがあり、プールとは別物です。事前に天候を確認する、飲酒後の遊泳はしない、深くて流れの急な場所では泳がない、などの慎重な判断と行動が必要です」
もし海や川で家族が流されてしまった、流されている人を見つけたらどうすればいいのか。