日常の至る所に火災の原因は存在する。ガスコンロをはじめ、たばこや電気配線、冬に使うことの増える、ストーブなどの暖房器具が引き起こすかもしれない。

火災が発生した、もしくは遭遇した場合、初期消火に欠かせないのが「消火器」だ。自宅にも備えておいた方が安心することだろう。では、どんな種類があり、どのようなポイントで選べば良いのだろうか?

消火器メーカーの団体である「一般社団法人日本消火器工業会」の理事・大久保一広さんと顧問・宮崎勝美さんに教えてもらった。

住宅用消火器の薬剤は2種類

まず消火器は、「業務用消火器」と「住宅用消火器」に分類できるという。

業務用消火器は、公共の安全を守るため、消防法で設置義務がある場所に設置するもの。商業施設や福祉施設、学校といった“不特定多数が出入りする建物”に置かれる。表面積の25%を赤色にする規定があるため、「消火器」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、業務用消火器と思われる。車用や船用も存在する。

左:業務用消火器 右:住宅用消火器(提供:日本消火器工業会)
左:業務用消火器 右:住宅用消火器(提供:日本消火器工業会)
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住宅用消火器は、消防法上の設置義務がない、一戸建ての建物などに設置することを目的として開発されたもの。コンパクトかつ軽量なのが特徴で、女性や年配の人でも簡単に操作ができる。また、色の規定がないため、メーカーごとに特徴を出した色やデザインを展開している。

扱いのしやすさなどから「一般住宅に設置するのであれば、住宅用消火器が適している」と、大久保さんは話す。

住宅用消火器の消火薬剤(提供:日本消火器工業会)
住宅用消火器の消火薬剤(提供:日本消火器工業会)

そんな住宅用消火器に入っているのが“消火薬剤”だ。「強化液」と「粉末」の2種類があり、次の仕組みで火を消すという。

・強化液
消火効果がある薬剤が溶け込んだ水を放射して消火する。薬剤が火元の内部まで浸透し、冷却効果も高いのが特徴。放射時間は約20秒。

・粉末
燃焼反応を抑える効果がある粉末の薬剤を放射して消火する。薬剤が広範囲に素早く広がり、制炎性が高いのが特徴。放射時間は約15秒。