海や川で遊ぶと着衣のまま、水中に落ちることも考えられる。その時にどうすれば、救助されるまでの体力を維持しやすいのか。

公益社団法人「日本水難救済会」の理事長・遠山純司さんに、着衣での水難事故を想定した、対処法について教えてもらった。

水中に落ちたら服や靴は「脱がない」

遠山さんいわく、服を着たまま水中に落ちたら「服や靴を脱がない」のがポイント。次のようなメリットがあるという。

・肌と衣服の間に人肌で温まった水が留まり、体温の低下を防ぎやすい
・衣類と体の間に空気が入り、一定の浮力を得ることにつながる場合もある
・靴は水に浮きやすいので、浮力につながる

靴は浮力があるという(画像はイメージ)
靴は浮力があるという(画像はイメージ)
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「以前は『手足が動かしにくくなる』との理由から、服は脱ぐようにと教えられていました。しかし今は、海面で待機するための体温の維持や浮力の確保が優先されています」

気が動転すると体力を消耗する要因になりかねないそう。力を抜いて、体を浮かせることを意識しながら、周囲に助けを求めてほしい。

水辺で遊んではいけない「タイミングと場所」の見分け方はこちらの記事へ

着衣でもできる泳ぎ方、浮き方

次は「岸から遠ざからない」を目指そう。服を着ていると、泳ぐことはなかなか難しいそう。そこで役立つのが、イカ泳ぎだ。

イカ泳ぎの流れ(提供:日本水難救済会)
イカ泳ぎの流れ(提供:日本水難救済会)

(1)お腹を上にして水面から顔を出す。顔は常に上げておく
(2)手足を同時に頭側に向けて引き上げる
(3)手足をゆっくりあおるように動かすと、浮くことができる
(4)手足を伸ばすと、頭側(矢印の方向)へ進むこともできる

一連の動作をゆっくり繰り返すことで、着衣でも楽に泳げる。声を出したり、手を振ったりして助けを求めることもできるという。