高市首相との初めての党首討論を終えた野党各党代表からは、厳しい指摘と前向きな反応の双方が聞かれ、今後の予算案審議などでの与野党各党の距離感が見て取れた。
台湾有事をめぐる存立危機事態の判断に関して改めて高市首相の見解をただした立憲民主党の野田代表は、「従来の見解を上書きするような答弁だった。事実上の撤回をしたと受け止めた」との認識を示した。
高市首相から衆院議員の定数削減に賛同を呼びかけられたことについて野田氏は、首相在任中だった2012年の党首討論で当時自民党総裁だった安倍元首相に定数削減を呼びかけたことを念頭に「宿題として残っていて、やり遂げたいと思っている」と述べる一方で、「多党化が進んでいる。新興政党の声も聞きながらやっていくべき」と、けん制した。
いわゆる「年収の壁」の引き上げについて、繰り返し「ともに関所を越えていこう」と呼びかけた国民民主党の玉木代表は、「かなり認識を一致させることができた」と手応えを語り、「これまでの答弁だとインフレに連動して上げると言っていたが、きょうは給与所得控除の話をされ、インフレ以外の要素を踏まえると明言された。関所を少し越え始めた」と述べ、政府与党との連携に前向きな姿勢を匂わせた。
非核三原則を見直すのかただした公明党の斉藤代表は、「基本的に私の質問に答えがなかった。すれ違った印象だ」と、高市首相を批判した。その上で、非核三原則の堅持を確認できなかったとして、「非常に残念だ。しっかりと監視をしていきたい」と述べ、この問題での対決姿勢を崩さなかった。
議席数に応じて割り振られる討論の持ち時間が3分だった参政党の神谷代表は、前日に国会へ提出した「スパイ防止法案」について質問したが、「時間がなかったため十分な回答はなかった」と振り返りつつ、「表情や語気を見ている限り方向性は違わないと思ったので、『一緒にやっていきましょう』と答えた」と述べ、今後の連携に含みを持たせた。