僕たちが家族のなかで生きるときも、地域で生きるときも、相手の身になって考えれば、人として細やかな感情が生まれてきます。そういう感情は生きる気力をもたらします。
無関心は、無頓着でもあります。頓着とは「心にかけること」。無感動、無頓着にならないことなのです。
最後まで「礼」を失わない
無礼、無感動、無頓着症候群は、豊かな人生を無味乾燥な人生に変えてしまいます。
日々、新しいことを“発見”することで、そこから脱却できます。年をとっても昨日よりは明日と成長すること、それが大事。好奇心を持って新しいことに臨む姿勢が大事なのです。

「どうせ死ぬんだから」と無気力になっては、不幸な結末が待っているだけ。生き方が最後まできれいでいたいと思って、いま自分は第四コーナーを回りかけています。
そして、もっとも大事なのは「ありがとう」の気持ちを忘れないこと。なにかをしてもらったときに「ありがとう」が言えるかどうか。「ありがとう」の気持ちがあれば、人生は勝手によい方向に回転していくはずです。
死ぬときも「ありがとう」の気持ちを忘れないようにしたい。もう用意してあるカマタの遺言の最後の行は「人生おもしろかった。サンキュー、グッバイ……」。

鎌田實
2005年より諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ原発事故後の1991年より、放射能汚染地帯へ医師団を派遣し、医薬品を支援。ウクライナ避難民支援にもいちはやく着手。 2004年からイラクの4つの小児病院へ医療支援を実施、難民キャンプに5つのプライマリ・ヘルス・ケア診療所をつくった。国内でも講演会、支援活動を行う。