崑ちゃんはいま93歳。舞台の仕事がいっぱいで102歳まで生きたいと言います。テレビドラマ「赤い霊柩車シリーズ」に葬儀社の専務役で自分が出演していたので、最後は赤い霊柩車で葬儀場まで行くのが彼の夢。うまいように死ぬためには、筋肉が大事と彼から学びました。
77歳は病気のデパート、でも無茶ができるときは無茶をする僕は死がいつきてもいいと思いながら生きています。でも、認知症、脳卒中、フレイル(虚弱)などで寝たきりにならないように、できる範囲のことはやろうと考えて生きています。
病気をしても好きなことを
老化の波は押し寄せてきています。病気のデパートのようなありさまです。白内障の手術をしました。車が大好きだから、いつまでも車に乗っていたい、免許証の更新をしたいという思いからです。
白内障の手術をし、友人たちと富士スピードウェイを1時間貸し切って、“自分史上最速”のスピードに挑戦をしています。
心不全のステージ分類というものがあります。4段階に分かれていて、僕は2段階目のステージB。心房細動という不整脈があり、カテーテル手術。心不全の原因となる高血圧もありました。だから塩分を控えること、野菜をしっかり食べること、体重を7kg減らしてそれ以上太らないようにすること。これによって、心不全のリスクは減りました。
睡眠時無呼吸症候群の症状もあります。寝ていると1分ほど呼吸が止まってしまうのです。かつては脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)のための腰痛症もありました。左膝十字靱帯の損傷もあります。
難聴気味で、テレビに出演したときに、やり取りの聞き落としがないように、補聴器をつけるようになりました。幸運に恵まれた健康優良児なのではありません。
70代のシニアと同じように、たくさんの病気を抱えています。それでもやりたいことを我慢せず、続けるようにしています。いつかわからないけど近々、間違いなく死がやってくる。そのときまで、無茶ができるときは無茶をすると決めています。

鎌田實
2005年より諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ原発事故後の1991年より、放射能汚染地帯へ医師団を派遣し、医薬品を支援。ウクライナ避難民支援にもいちはやく着手。 2004年からイラクの4つの小児病院へ医療支援を実施、難民キャンプに5つのプライマリ・ヘルス・ケア診療所をつくった。国内でも講演会、支援活動を行う。