台湾・台北市で行われた世界ジュニアフィギュアスケート選手権。
日本男子は中田璃士が銀メダル、中村俊介が4位、垣内珀琉が17位だった。
その垣内がこだわり続けたのが、フリー『Wake Me Up』だ。
この記事の画像(10枚)このフリーは、世界ジュニアで見納めとなり、来シーズンから新たなプログラムで挑むという。
さらに来シーズンは本人も念願だった、ステファン・ランビエールの振付が叶ったという。
期待が募る来シーズン。
今シーズンは「去年とは違うオレ」がテーマだったが、来シーズンは「変化」を目標にしていきたいと語った。
ショートは自己ベストに近い点数に
ユース五輪代表の垣内珀琉(17)。
2度目の全日本選手権で、ジュニア勢3番目の順位で世界ジュニアの代表をつかんだ。
この大舞台に向けて、垣内はこれまで以上に練習に励んだという。
「ジャンプの数も、4回転の数も増やして、スピンの数も増やして。怪我ギリギリの練習を、毎日毎日最大限を出せるように頑張ってきました。出発前やっと、曲かけでも4回転が決まるようになってきて。頑張ってきました」
世界ジュニアでは順位ではなく、200点超えを最大の目標としてリンクに立つ。
その目標を掲げて挑んだ世界ジュニア。
ショートではミスが出たものの、自己ベストに近づく65点をマークし、自身の成長を感じたという。
「ユース五輪の時よりも今回はスピンが、すべてが自分の今できるものを出せた。たぶん、そこが点数が上がった要因じゃないかなって思います」
手応えを感じたショートから続くフリーは、2年連続のお気に入りのプログラム、Aviciiの『Wake Me Up』だ。
この世界ジュニアが、シーズンをともにしたプログラムの最後の滑り納めになった。
目標達成ならずも達成感あり
ショート後、垣内はフリーに向けて「台北の舞台も、会場も沸かせます」と意気込んだ。
そのフリーでは、公式練習で着氷していた4回転トゥループで転倒してしまう。
しかし、その後は立て直し、全てのエレメンツで評価を獲得した。
フリー127.33点、総合192.82点で、目標の200点には届かなかったが、垣内の顔は晴れやかで満足気だった。
「4回転トゥループでこけてしまいました。でもその他が、今見たらスピンがちゃんとオール4をショートとフリーでとることができた。
他のジャンプも加点がついているので、今できることをしっかりやって、最後の『Wake Me Up』ができたので、今はすごく点数よりも満足しています」
「今までの僕だったら『クラシックバレエが好きだ、きれいだ』というイメージでしたが、今シーズンの目的が『今までとは違うオレだぜ!』だった。
それを2シーズンやってきて、今だったら『こっちの方が僕』という感じ。それを変えることができたのでよかったです。達成できた!という感じです」
イメージ変えたお気に入りのフリー
戦いのシーズンを終えた垣内に、自身のイメージを変えた“プログラム愛”を改めて聞いてみた。
「この試合も充実しているのですが、この1年はすごく充実した1年になったので、すごく良かった。
みなさんすごく上手で、やっぱりトリプルアクセルがないとダメだなと思った。あと、スケーティングが全然違う。もっと上手くなりたいなってすごく思いました」
ブラッシュアップを続けてきたフリーについては「ものすごくお気に入りプログラム」と話す。
「はじめは『僕、こんなの踊れるの?』みたいな感じで。
でも、自分を変えるために、このプログラムにしようって。決心したんですが、不安もあって、『大丈夫なのかな』と思ったりしました。
この2年を通して、自分のイメージを、最終目的である“イメージを変える”という目的を達成することができて、今ではものすごくお気に入りのプログラムになっている」
“去年とは違うオレだぜ!”のテーマの達成度は、表現力の面で成長を感じたと語る。
「ジャンプ的な要素だったら成長はなかったかな。スピンや演技構成点(PCS)の部分だったら、去年より成長することもできた。
あとは2シーズンやってきて、1年目の僕よりも、2年目がすごくキレもあった。
ダンスもハマることができたので、やっていても気持ちいいなって感覚が2年目の方があったので、そういう面がすごくよかったのかなと思います」
夢なのか!?ステファンの振付叶う
2シーズン滑った『Wake Me Up』は見納めとなり、来シーズンは新たなテーマと新たなプログラムで挑むという。
「このオフシーズンの間に『ものすごく変わったね、あれ?』みたいな。
『珀琉くん、こんなんだったっけ?』と思ってほしいので、“変化”ですね。
今の僕の中では“変化”が、来シーズンに向けてのテーマじゃないのかなと思います」
その変化の一つがスイスで行う振付だ。
来シーズンは、宇野昌磨らのコーチを務めるステファン・ランビエールが振付をしてくれるようで、本人も楽しみが勝っていると話す。
「ものすごく楽しみで、夢なのか!?みたいな感じでした。楽しみですが、振付をしっかり覚えることができるのかなって。
ステファン先生とは英語で会話をするんですけど、僕も英語が全然わからなくて。
そういった不安もありますが、すごく優しい方なので、楽しみが勝っています」
ステファン・ランビエールに振付をしてもらうことになった経緯は、垣内のコーチをする田中刑事がきっかけだったという。
「僕のコーチである田中刑事コーチのエキシビションのプログラムを(ステファンが)振り付けてくださっていて、僕もやってみたいと思いました。
そういったいろいろなことでつながって、お願いをしたところ、まさかのオッケーと。
もう本当にダメ元だったので、まさかオッケーもらえるとは思っていませんでした。
最初は『本当に、本当に?』という思いと、『大丈夫?あとで無理とかならないよね…』と思たりもしました。すごくありがたいなって思います」
新たな挑戦となる来シーズン。垣内にとってはジュニア最後の年となる。
「来シーズンはまだよく考えられていませんが、ジュニア最後の年なので、最後に『やっていてよかったな!』と思えるシーズンに。
最後に『悔しかったな』で、シニアには行きたくない。
最後に『ジュニア、いやぁ頑張っていてよかった!』と思えるようなシーズンにしたいです」
変化する垣内の成長に目が離せない。
世界ジュニアフィギュアスケート選手権2024
3月10日(日)深夜2時50分~3時50分https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/worldjr/index.html