台湾・台北市で行われた世界ジュニアフィギュアスケート選手権。
ジュニアの世界一を決める決定戦で日本男子は、中田璃士が銀メダル、中村俊介が4位、垣内珀琉が17位だった。
中村にとって、全日本ジュニア王者として挑んだ初の大舞台は、表彰台まであと一歩だった。
自身“荒れたシーズン”を送ってきたというが、最終戦では気持ちが入った演技を披露。
来シーズンはシニアへの移行も考えているという中村に、戦いの翌日話を聞いた。
体の状態は今シーズン一番いい
今シーズン、中村俊介は7度目の全日本ジュニアで悲願の優勝を手にした。
中村の同年代には世界選手権代表の三浦佳生がいる。中村にとって、三浦の存在が自身を大きく成長させているという。
その三浦が去年優勝した世界ジュニアに初出場した中村。
大会前には「いいときと悪いときがあって、今シーズンは悪いときの方が多かった」と話していたが、公式練習後には「コンディションが良好」と調子の良さを見せた。
「気合いを入れて練習してきた。体の状態もジャンプのキレもスピードも、曲の一体感というか、自分の中で練習をしっかりやってきたので、ここまで良くなっていると思います。今シーズン一番いいですね、体の状態は」

初めての世界ジュニアに中村は「すごく楽しみで、今シーズン目指してきたところなので、来られたことを喜んで、来られたことをかみしめて、楽しんで滑りたい」と意気込む。
今シーズン、好調のショートのカギは「トリプルアクセル」だと語る。
「まずはトリプルアクセル。いいアクセルが跳べると思うので、アクセルに命を懸けるというか、アクセルを全力で。
あとは安心してみてもらえるように、安定した演技をして頑張りたい」
中村にとって高校最後の大会となる世界ジュニアが始まった。
フリー後、スッキリとした表情に
ショート冒頭のトリプルアクセルでは惜しくも転倒してしまうが、引きずることなく立て直していき、10位スタートでフリーへ。

続く、トリプルアクセル+2回転トゥループのコンビネーションも着氷させ、ミスはあったものの最後まで気持ちを切らさずに滑り切り、フリーで総合4位まで順位を上げた。

4回転トゥループのきれいな着氷に「練習で決まっていても本番で決まらないことが多かった。
ただ自分を信じて、トゥループの成功がめっちゃ気持ちよかったです」と笑顔に。

初めての世界ジュニアを「自分としては、ここまで一番頑張ってきて、調子も合わせられて、ショートとフリー最後まで滑り切ったことが嬉しいです」と演技を終えてスッキリとした表情を見せた。
悔しいけど成長もできた
翌日、インタビューに応じてくれた中村。
世界ジュニアを振り返って「やりきったという気持ちと、ちょっと悔しいなという気持ちがあります。高校最後の試合だったので、ノーミスを狙っていました。
最後だからノーミスして高校を卒業したいなと思ったんですけど、できなかったです」と悔しい思いを口にする。

大会前は「荒れ荒れのシーズン」だと話していた中村。シーズン最終戦となった世界ジュニアを終えて、今シーズンを振り返る。
「思い描いていたものと違って、もっといい結果を残したかったんですけど。
本当に学びが多いシーズンで、練習でうまくいっていても、本番でうまくいかないという経験を何試合かして。でもその中でも切り替えて。
スケート以外の部分でもいろいろな経験ができて、結果は良くないですけど、自分の成長という面ではすごくいいシーズンだったかなと思います」

現在高校3年生の中村は、春から大学に進学する。
これを機に、来シーズンのシニア参戦も見据えていると話す。
「今回(世界ジュニアで)3位以内に入れれば、シニアのグランプリシリーズに出られるかなと思っていましたが、4位だったので。なかなかシニアの試合に出られない可能性もある。
ただ、もしかしたらジュニアグランプリや世界ジュニアに出られれば、もう一度ジュニアとして試合に出る可能性はあります。ただ、自分としてはシニアに行く気持ちです」
今のままではシニアで戦えない
同級生の三浦佳生はすでにシニアへ移行し、今シーズンは世界選手権に出場する。
影響を受けているという三浦について中村は「同い年ですけど、憧れの存在。ジャンプや滑りも参考にさせてもらって、憧れですが友だちでもあるので、すごくありがたい存在です」と語る。

さらに、来季のプログラムについて聞いてみると「特に決めてなくて。ただショートは、最近すごく速い動きばかりなので、ゆっくりした感じかなと。
フリーは体力をつけて、激しい動きをメインでいきたいなと考えています」とイメージしていることはあるという。
「ショートは得意な方なので、来シーズンはフリーをもっと強くして、4回転の種類も増やして、ちゃんとまとめられるようにしていきたい。
ジュニアかシニアか、まだ本当に決めてないので、ゆっくり考えて決められたら。
どちらにしてもやることや練習することは変わらないので、トップを目指して練習していきたいと思います」
来シーズンの構成として、4回転の種類を増やしたいと話す中村。

「まずトゥループを2本にして、シニアに行くのであれば4回転が3本以上は必要だと思っています。4回転はトゥループ2つ、サルコウ1つは入れていきたい。
でも体力や4回転を入れての滑り込みが全然足りてないので、オフシーズンに練習しながら、(ジュニアかシニア)どちらに行くか決めたい」
その思いはレベルが高すぎるという日本のシニア参戦を考えてのことだった。

「自分はまだ全然シニアで戦えない。レベルが高い選手がたくさんいるので、そのレベルに行くにはもっともっと練習が必要だと感じています。
ただ練習するだけじゃ到底追いつけないなと今シーズン、全日本選手権に出場して、生で見て感じました」
来季の主戦場がジュニア、シニアだったとしても、中村が納得のいくシーズンを送れることを願いたい。
世界ジュニアフィギュアスケート選手権2024
3月10日(日)深夜2時50分~3時50分https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/worldjr/index.html