富山県立山町には、地元民に長年愛され続けているソウルフードがある。昭和33年から続く濃厚な焼きそばと、46年間作り続けられているユニークなパンダ焼き。時代を超えて受け継がれる味の背景には、地域への深い愛情と絶えざる工夫があった。

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67年の歴史を刻む「スパイシーな焼きそば」

立山町五百石にある「WATANABE」では、創業した昭和33年(1958年)、67年前から愛され続けている焼きそばを味わうことができる。2代目店主の深川さんが作る焼きそばは、「スパイシーなソースが効いた独特な味のするおいしい焼きそば」だ。

店は先代で創業者の渡辺さん夫妻が高齢のため、2020年ごろに一旦店を閉めたが、その味を受け継ぎたいという深川さんの思いにより、2023年にリニューアルオープンを果たした。「当時の材料、調味料を使って、引き継いだ」と深川さんは語る。

焼きそばの特徴は、そのシンプルさにある。「具材がとてもシンプルなので、キャベツをたっぷり入れて甘みをだしている」という深川さん。決め手は「酸味がきいたスパイシーなソース」で、「強火で炒めているのでソースがよく絡んだ濃厚な味になっている」のだという。

実際に味わってみると、キャベツの甘みとソースが絡んで濃厚でおいしい。ボリューム満点の「焼きそばのミックス」は、立山町民にとってまさにソウルフードと呼ぶにふさわしい一品だ。

店ではもうひとつの看板メニューとして「お好み焼き」も提供している。深川さんのおすすめは、なんと「わさび」と一緒に食べる方法。「ワサビをのせるとさわやかになっておいしい」という新しい味わい方も楽しめる。焼きそばやお好み焼きはテイクアウトも可能で、昔ながらの変わらぬ味を家庭でも楽しむことができる。

46年間愛され続ける「パンダ焼き」の進化

もうひとつの立山町のソウルフードが、小学校の登下校ルートにある「やきそばカトウ」の「パンダ焼き」だ。店主の加藤さんは「もうね、46年前からやっている」と語り、年季の入った焼き型で作るパンダ焼きが看板商品となっている。

加藤さんが作るパンダ焼きの種類は実に豊富で、「あずき」や「カスタード」などのスタンダードなものから、ツナマヨや納豆などのフード系まで15種類を揃えている。おすすめは「『ツナマヨ』と最近は『チョコバナナ』がよくでる。それと『青汁』」だという。

特に印象的なのは、常に進化を続けている点だ。「パンダ焼きをはじめたときはあんこだけだった。だんだん増えていきました」と加藤さんは振り返る。「子どもたちの要望もあるし、『同じことをしていたらはダメ』だと思っていろいろ考えたりもした」という姿勢が、15種類という豊富なバリエーションを生み出している。

ツナマヨについて加藤さんは「キャベツ入っているのいいでしょ。ツナだけよりも」と自信を見せる。チョコバナナはバナナ半分ほどが入っていて食べ応えバッチリ。加藤さん曰く、販売開始からどんどん、バナナの量が増えていったのだという。

最もユニークな「青汁」味は、「苦くはないでしょ」と加藤さんが言う通り、想像と違って、生地が甘くて抹茶のような味がした。

世代を超えて愛される理由

これらのソウルフードが長年愛され続ける理由は、単に美味しいだけではない。「食べた人に喜んでもらいたい」という加藤さんの思いが詰まったパンダ焼きは、「足しげく通ってくれる地元の人の要望を聞きながら、少しずつ変わっていく」ことで、時代に合わせた進化を続けている。

特に嬉しいのは、「学生のころに通っていた人が、その後、自分の子どもを連れて、2世代で店に来てくれる」ということだという。店主はとても嬉しいとおっしゃっており、これこそがソウルフードと呼ばれる所以である。

67年前から受け継がれた焼きそばの味と、時代のニーズにあわせて新たな味を生み出し続けるパンダ焼きは、立山町民の心の中に深く根付いた、かけがえのない故郷の味となっていた。

(富山テレビ放送)

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