沼津市の土地を許可なく有料駐車場として貸し出し、不当な利益を得たとして市が約200万円の返還を求めて山下富美子 市議を訴えた裁判は3月13日に和解が成立した。争点となった土地の所有権について、和解条項では沼津市が所有者であることを認めている。

異例…市が市議を提訴した背景に何が?

沼津市から訴えられていたのは同市の市議会議員・山下富美子 氏。

山下富美子 氏
山下富美子 氏
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その内容は、山下氏が自宅に隣接する市有地を有料駐車場として貸し出し、不当な利益を得ていたとして約200万円の返還を求めるというものだ。

争点となった所有権は市側に軍配

裁判の中で争点となっていたのは土地の所有権。

山下氏側は「父親の代に橋の拡張のため2回ほど用地買収に応じたが、2回目の用地買収では土地代金の一部を現金ではなく市有地をあてがわれたものであると認識していた」「交通量の増大により家への出入りが困難となるため、父が沼津市と話し合って、官地を私有地として上記のことが行われたと聞いており、問題となった土地は私有地という認識で今に至っている」「2019年に相続した後も何の問題もなく来たが、その土地が名義変更されず、市有地となっていたことは思いもよらないこと」などと市を反訴し、「売買契約が成立していないとしても時効取得により所有権が移転している」と主張した。。

所有権が争点となった当該の土地
所有権が争点となった当該の土地

こうした中、地裁沼津支部が示した和解案では市が当該地の所有者であると判断。

他人が所有する不動産であっても、長期間にわたり占有し続けることで所有権を取得する、いわゆる時効取得を認めなかった形だ。

その上で、山下市議が解決金71万円を支払うことや当該地を市が山下市議に182万円で払い下げることなどが盛り込まれた。

市は”勝利”を強調…山下氏側も「勝利的な和解」と評価

双方が同意したことで3月13日に和解が成立し、沼津市は「本市の主張が認められた内容」と強調した上で、和解する理由について「今後も訴訟を続けた場合にかかる費用を削減できる」との考えを明らかにしている。

これに対し、山下市議の弁護人は時効取得が認められなかった点について「裁判所の判断が間違っている」と非難。

裁判所が時効取得を認めない理由として「自主占有ではなく他主占有である」ことを挙げた点について、「善意の占有・悪意の占有、すなわち当該地が市の土地であると知った上で占有していたのか、そうでなかったのかの問題を、自主占有・他主占有の論点と取り違えていると判断している」と述べた。

仮に山下氏の土地所有権を認めない判決文が出された場合には控訴する考えだったという。

では、なぜ和解に合意したのか?

弁護人は和解条項において「不当利得の成立を認めていないこと」などを挙げ、「山下氏の考え通りの中身で和解条項を作成するにこぎつけ、敢えて判決を出させ、多大な時間と労力を費やし、控訴審で闘うことをせずに和解を受諾することにした」と口にした。

山下氏は「不当利得という汚名ではなく、正当な権利として私が心に描いていた理想の範囲で、この戦いに終止符を打てたことを心の底から誇りに思う」と述べている。

(テレビ静岡)

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