岩手・矢巾町出身でモトクロスのプロライダー横澤拓夢選手は2023年、国内最高峰のレースで総合2位になるなど勢いを加速させている。2024年は「絶対チャンピオンになる」と意気込みを語った。

父と兄の影響で始めた“モトクロス”

アクセル全開で飛び出すジャンプに、土煙を立て華麗に回るコーナリングなど、一瞬の判断が勝敗を分け、一瞬の油断で命を失うこともあるモトクロス。

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このスリル満点なモータースポーツに挑み続けるのが、矢巾町出身のモトクロスプロライダー横澤拓夢選手(25)だ。

横澤選手は2023年、国内最高峰のレース・全日本モトクロス選手権250ccのクラスに出場し、全部で9戦あるうち、第5戦北海道大会で5年ぶり2回目の優勝を果たすと、続く第6戦も優勝。最終戦まで年間チャンピオンの可能性を残していたが、一歩及ばず総合成績は2位。日本人では最高成績を収めた。

横澤拓夢選手:
本当にこれが自分なのかと思うくらい自分がイメージしていた理想の走りに段々近づけているような気がして、このまま成長していきたい

モトクロスを始めたのは5歳のとき。現在、参院議員でかつてモトクロスライダーだった父・高徳さんと、2歳上の兄・俊一さんの影響だったという。

横澤拓夢選手:
モトクロスを初めて見たときに僕もすごいと思ったが、それ以上に兄が「やりたい」と言って2人セットみたいな感じだったので、気付いたら僕もやっていた

父・高徳さんは大けがを乗り越えてチェアスキー選手になり、14年前パラリンピックの日本代表になった。出発の際には、当時小学生だった横澤選手が「頑張ってほしいという気持ちと楽しんでほしいという気持ちで応援したい」と父にエールを送っていた。

不屈の精神を持つ父の姿を見ながら努力を続け、横澤選手は中学3年生のときに才能を開花させる。全国大会で優勝すると、2年後には高校生ながらプロライダーとして全日本モトクロス選手権に参戦した。

弟を支える兄…兄弟で世界一を目指す

メカニックを担当するのは兄の俊一さんだ。20歳のとき、けがをしてしまったのをきっかけに弟を支える側に回り、兄弟で世界一を目指している。

横澤拓夢選手:
あまり要望をしなくても、大体タイヤも自分の好きなタイヤがついてる

兄・俊一さん:
あんまり言葉で交わさなくても、これ付けといた、これやっといたよと

横澤拓夢選手:
ああOK、全部OKみたいな感じ

俊一さんは矢巾町の議員をしていて、時には仕事に行く前の朝3時からメンテナンスをすることもあった。横澤選手は「エンジンの中までゼロから100まで見てくれて、安心してレースに臨める」と話し、俊一さんが整備したバイクだからこそ、昨シーズン最高のパフォーマンスを発揮することができた。

“体のケア”や“食事の改善”も意識

そしてもう一つ、好調の大きな要因がある。

岩手・盛岡市のパーソナルスタジオに2022年から通い始め、体のケアや食事の改善、トレーニングの専門的な指導を受けてきた。その甲斐あってか効率的な体の動かし方を覚え、体幹も鍛えられた他、栄養に気を遣うようになってから疲労がたまりにくくなったという。

横澤拓夢選手:
もっと若い時期だったら同じこと言われてもピンとこなかったり、「食事とか関係ない」「ケアとかいらない」となっていたと思うが、今は本当に勝ちたいという気持ちが過去で一番すごくて、何でもやる・何でもやりたい時にここに出会えた

2024年は「絶対チャンピオンに」

最高のシーズンを送った横澤選手は、新たなシーズンに向け、さらにレベルアップしようと現在は海外のトップレベルの選手たちの技をどん欲に吸収している。

最後に2024年にかける思いをしたためてもらった。

横澤選手:
昨年2位で本当に悔しい思いをしたので、絶対チャンピオンになって、岩手に良いニュースを届けられるように、僕が絶対チャンピオンになります

(岩手めんこいテレビ)

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