今シーズンでの引退が決まっているJR九州の観光列車・SL人吉のイベントが6月24日に福岡県の大牟田駅で行われた。子ども連れなど約400人が参加し、SLが持つ迫力を間近に感じていた。

今シーズンで引退 SL人吉歓迎イベント

6月24日、福岡県・大牟田市にある鹿児島本線大牟田駅は、JR九州の観光列車・SL人吉の歓迎イベントで、多くの子ども連れであふれていた。

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子どもたちは「SLを見に来た。(見られるのは)うれしい」などと、期待に胸を膨らませていた。

SL人吉の蒸気機関車・58654号機は“ハチロク”の愛称で多くの人に親しまれている。

しかし、1922年の製造で、製造から100年を超えているため、車体の老朽化や部品調達の問題から今シーズンでの引退が決まっている。

その名の通り、肥薩線の人吉を走る人気の観光列車だったが、肥薩線は2020年の7月豪雨で甚大な被害に遭い、現在も一部区間が運休しているため、いまは鹿児島本線の熊本~鳥栖間を走っている。

豪雨で被災し肥薩線から鹿児島本線へ

現在のSL人吉の停車駅の一つ、大牟田駅のホームにかかる跨線橋には蒸気機関車が描かれ、人気の撮影スポットになっている。

今回のSL人吉の歓迎イベントは、大牟田市のワーキンググループ「大牟田わかもの会議」のメンバーが、市内の小中学生を招待するために企画した。JR九州も賛同し、この日の上りと下り、合わせて約600人分の子ども入場料を無料にした。

参加した子どもたちは思い思いの色で塗ったSL人吉の旗を作り、列車の到着を祝った。

準備万端 約400人でSL人吉お出迎え

準備は万端に整い、大牟田駅のホームで約400人が待つ中、黒い煙を上げて、ホームに到着したSL人吉。

その大きさや、迫力に多くの人がカメラを向けて写真を撮り、蒸気機関車独特の音と煙に驚いていた。

子どもたちは、見えなくなるまで手を振り続け、SL人吉もそれに応えるかのように力いっぱい煙を吐きながら次の駅へ向かった。

子どもたちに感想を聞いてみると、「汽笛がすごかった」「かわいかった」「長かった」と、感激している様子だった。また、SLが100歳を超えることを伝えると「えっ!スゴッ」と驚いていた。

関好孝・大牟田市長:
いやーやっぱり迫力がある。子どもたちがうれしそうにSLを見ている姿に一緒に感激した

豪雨から3年 引退まであとわずか

大牟田わかもの会議・有馬辰紀さん:
SL人吉がみんなを笑顔にするそのすごさは、今まで走っていた肥薩線の沿線の方が長年育てたからこそ、僕らはSL人吉を通して元気や笑顔をもらった

2020年の7月豪雨からまもなく3年。走る路線は変わったが、SL人吉はいまも変わらず、多くのファンに囲まれていた。

100歳を超えたSLの迫力を間近に感じられるのも、引退する来年3月までのあとわずか。SL人吉の運行スケジュールはホームページに掲載されていて、夏休みの期間中は増便して運行する予定だ。席は全席指定で乗車日の1カ月前から購入ができ、インターネットでは更に1週間早く事前申し込みができる。

(テレビ熊本)

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