メジャーリーグでは全米各地で日本人選手が活躍しているが、アメリカイリノイ州シカゴでは「スケートボード」で盛り上がりを見せていた。今回「S-PARK」は、4月29日に行われたスケートボードの“ある開幕戦”に挑む日本女子選手の舞台裏に密着した。

“世界最高峰”大会がシカゴで開幕

シカゴの公園では、コンクリートに叩きつけられても 何のその、若者たちがスケボーに大熱狂。さらには、メジャーリーグのシカゴ・カブスのマスコット「クラークくん」もスケボーに挑戦する姿がSNSに投稿されていた。

シカゴの公園でスケボーに熱狂する若者たち
シカゴの公園でスケボーに熱狂する若者たち
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街中が「スケボー一色」になっていた理由は、シカゴで開幕する“世界最高峰”のプロスケートボードコンテスト「ストリートリーグ」。

(Street League Skateboarding)
(Street League Skateboarding)

「ストリートリーグ」は、2010年に創設されたスケートボードのプロリーグで、年間総合王者を目指し世界を転戦する。シカゴをはじめ、世界各地をめぐって年間王者を決めるこの大会。この夏には、日本にも初上陸する。演出は、まるでミュージシャンのライブのようで、賞金総額は25万ドル(約3400万円)と、お金のかかり方も「グレート」なのだ。

「(スケボーは)カルチャーさ!」
「(スケボーは)カルチャーさ!」

シカゴのスケーターたちは「全世代のレジェンド級のスケーターが集まるから楽しみだよ!」、「世界中を旅しないと見られないような技がここで見られるなんてとってもクールだよね」、「(スケボーは)“人気”を通り越して“カルチャー”さ!もう“生活の一部”だよ!」とテンションも最高潮。

そんなスケボーファンが熱い視線を送る「ストリートリーグ」。その開幕戦という“夢舞台”に日本が誇る3人のガールズスケーターが挑んだ。

女子会で見せたスケートカルチャー

大会2日前。シカゴにあるレストランを覗くと、食事をする女子たちのグループを発見。

左から中山楓奈(17)、西矢椛(15)、織田夢海(16)
左から中山楓奈(17)、西矢椛(15)、織田夢海(16)

そこにいたのは、2023年春に高校1年生になった日本人史上最年少の五輪金メダリスト・西矢椛(15)。さらに銅メダリストで中山楓奈(17)に加え、2022年のストリートリーグで女子史上最高得点を叩き出した織田夢海(16)の3人だ。

3人が舌鼓を打っていたのが、本場の超ビッグなシカゴピザ。

大会前にリラックスした表情を見せる3人(左から中山楓奈(17)、西矢椛(15)、織田夢海(16))
大会前にリラックスした表情を見せる3人(左から中山楓奈(17)、西矢椛(15)、織田夢海(16))

ーー味はどうですか?
西矢椛:ヤミー!
3人:美味しかった!

3人は国際大会の常連で、パリ五輪でも出場権を争う間柄。

3人の関係性について聞かれると皆「友だち!」と答えた。
3人の関係性について聞かれると皆「友だち!」と答えた。

3人の関係性を聞くと、西矢は「友だち!」、中山も「友だちです!」、織田も「いろんな会話をしています!」と話した。

スケートボードといえば東京五輪でもライバルを讃えあう姿が名シーンに。これこそが、スケートカルチャーと言える。そして今回は最高峰の大会を前にして和気藹々とした女子会。スケーターならでの素敵な人間関係を改めて発見することができた。

得意のレールセクションが無い?

試合当日の朝10時。3人は、スケーターらしく、スケボーしながら会場に入っていく。

ストリートリーグの特長といえばイチから作られるというセクション。そのコースを見渡してみると今回は中央に位置するメインセクションに“いつものアレ”が無い。

コースの感想について話す西矢椛(15)
コースの感想について話す西矢椛(15)

西矢椛:
なんか難しそう…。

コースの感想について話す織田夢海(16)
コースの感想について話す織田夢海(16)

織田夢海:
ちょっとムズそうだし、クセがありそうかなと思う。

東京五輪で堀米雄斗(24)や、西矢や椛などが“レールを使った大技”で金メダルを獲得してきた日本勢。今回はその日本勢が得意とするレールセクションが無いのだ。

3人はこのコースをどう攻略するのか?も気になるところだった。

3人ともが5位以内に入賞

そして、いよいよ始まったストリートリーグ開幕戦。

キックフリップをメイクする織田夢海(Street League Skateboarding)
キックフリップをメイクする織田夢海(Street League Skateboarding)

まずは2022年ストリートリーグ・フロリダ大会で史上初9.4の最高得点をマークした織田。高さのあるギャップからキックフリップをメイクする。

五輪でも決めた代名詞のフロントサイドKグラインドをメイクする中山楓奈(Street League Skateboarding)
五輪でも決めた代名詞のフロントサイドKグラインドをメイクする中山楓奈(Street League Skateboarding)

東京五輪銅メダリストの中山は、五輪でも決めた代名詞のフロントサイドKグラインドをメイクして、しっかりと会場を沸かせる。

西矢椛はKグラインド ノーリー・ヒールフリップアウトをメイク(Street League Skateboarding)
西矢椛はKグラインド ノーリー・ヒールフリップアウトをメイク(Street League Skateboarding)

そして東京五輪・金メダリストの西矢。レールトリックを封印された彼女が選択したのはKグラインド ノーリー・ヒールフリップアウト。メインセクションではなく平らなサブセクションで大技をメイク。セクションを抜ける時にかかとで板を回転させる女子では珍しいこのトリックに会場に大歓声が響き渡る。

実は本番前の直前公式練習でも、このトリックを何度も練習していた西矢。「みんながやってない技を見てほしいです」と意気込みを語っていた。

練習の成果もあり本番は一発で成功させ、8.3の高得点をマーク。世界最高峰のストリートリーグ初戦で西矢は見事2位に入った。

2位に入賞した西矢椛(最左)
2位に入賞した西矢椛(最左)

女子 結果
優勝 R.レアウ(ブラジル):31.4
2位 西矢椛(日本):28.3
3位 R.シュウェツルート(オランダ):25.8
4位 中山楓奈(日本):20.3
5位 織田夢海(日本):16.2

西矢「足りてないところがわかった」

西矢椛:
Kグラインドのヒールアウトを一番乗りたかったので、一発で乗れてよかったです。

2位のトロフィーを持つ西矢椛
2位のトロフィーを持つ西矢椛

できれば1位がよかったんですけど2位でもうれしいです。

試合後のインタビューに答える西矢椛
試合後のインタビューに答える西矢椛

自分が足りてないところがわかったので、それも練習していきたいです。

まだまだ“のびしろ”たっぷりの西矢、中山、織田。“仲良し女子”の3人がストリートリーグで表彰台を独占する日は近いかも知れない。
 

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5月6日(土)24時35分から
5月7日(日)23時15分から
フジテレビ系列で放送