その日は、10年に一度とも言われた強烈な寒波が列島を襲っていた。

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1月25日午後3時45分ごろ、宮城県仙台市青葉区にある東北高校2年の高田結羽さん(17)、吉野風雅さん(17)、森明育さん(17)、若生南桜希さん(17)の4人は、時より吹雪く中、下校していた。

目を疑う光景は、学校を出てすぐ目の前の公園にあった。
小学生1人が沼にはまり、身動きが取れなくなっていたのだ。すぐそばには、小学生がもう1人いて、どこかに電話をしていた。

勝手に体が動いた

高田さんと森さんが沼に近づくと、小学生に「大丈夫?」と声をかけた。
すると、すぐに小学生から「助けてください!」と言われたという。
強烈な寒波により、沼には一面の氷が。沼がどれぐらい深いかも分からない。
それでも高田さんは、「体が勝手に動いた」と沼に入った。
その時の心境を振り返ると、「怖いより助けたい」その一心だったという。

時を同じくして、他の3人も動き出した。それは誰かが指示を出したわけではない。
高田さんが沼から救助した小学生を抱きかかえ、若生さんが引き上げる。
ずぶ濡れになり、「寒い」と泣き続ける小学生。

残る、吉野さんと森さんが、自らの上着とカイロを使って、小学生を温め続けた。
一歩遅ければ命に関わる状況だった小学生。
高校生4人が見せた迅速で的確な連携プレーが、小学生の命を救った。

あの時はごめんなさい

“奇跡の救出劇”から約1週間後、私たちは4人に現地で話を聞くことができた。
その時、偶然にもあの日、4人が助けた小学生たちが公園で遊んでいた。

その日は晴天で、何事もなかったように、走り回る姿が印象的だった。
4人に気付いた小学生は歩み寄り、「あの時はごめんなさい」「ありがとうございました」と声をかけた。4人は、「危ないことをしないようにね」と笑顔で応じていた。

2月7日、連携プレーの4人は、宮城県警仙台北警察署から感謝状を贈られた。
「小学生のお手本になるような行動ができて、とてもよかった」と笑顔で話した。

(仙台放送)

仙台放送
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