宮城県も6月の梅雨明けとなった。例年を上回る暑さが続く中、海や川にすでに出かけたという人も多いのではないか。まもなく夏休み、水辺のレジャーは危険も伴う。
2021年に水難事故で犠牲となった子供は、全国で31人。約半分の18人は、川で水遊びをしている最中に事故に遭った。
子供の命をどう守ればいいのか。専門家に注意点を聞いた。

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夏の川遊び 3つの注意点とは?

仙台市太白区の名取川。この川は仙台市中心部から近く、多くの人が訪れる。取材をした当日は真夏日となり、平日でも川遊びをする家族連れの姿が見られた。

記者:
よろしくお願い致します

水難学会 安倍淳さん:
お願いします

水難事故に詳しい専門家安倍淳さん。子供と川で遊ぶ際、どのようなことを気を付ければいいのか?

水難学会 安倍淳さん:
当然ですが、ひざから下、転んでも立ち上がれる深さ

ポイント1:深さはひざ下まで

大切なポイント1つ目は、水の深さをひざ下までにすること。このように強い川の流れでもし、っかりと立つことができる。
しかし、腰ほどの深さになると…

記者:
かなり速いです。立っているのもきつくなります

水難学会 安倍淳さん:
しっかり踏ん張ってくださいね

20代の男性記者でも、腰の深さでは立っているのがやっとになった。

水難学会 安倍淳さん:
ひざよりも上、40センチよりも上になったらかなり危険

また、ひざ下までの深さを維持するためにも、川底の変化にも注意が必要。

水難学会 安倍淳さん:
足元に注意して、2メートルほど進んでいただけますか

記者が数メートルほど進んでみると、一気に腰下まで深くなった。

水難学会 安倍淳さん:
小学生だと、急にひざから胸まで深くなる感じ。胸まで流れを抱くと、浮力で方向を維持することができなくなる

急に深くなるのは、名取川だけではない。
こちらは水難学会が白石川で行った実験映像。最初は緩やかでも、深さが急激に増し、あっという間に頭しか出ていない状態になった。

水難学会 安倍淳さん:
大人がいるところが浅く見えるので、そこに近づいていくのに注意が必要。深さが変わっているんだよと教えてもらえればと思う

ポイント2:ライフジャケット着用

続いて、大切なことはライフジャケットを着ること。水に浮き、呼吸できるように助けてくれるライフジャケット。ただ腕を通すだけでなく、正しく装着できているかが重要だという。

水難学会 安倍淳さん:
お腹のところをしっかりと締める。上に上がらなくなる。ゆるいとジャケットだけが浮き、体が沈んでしまう。体と一緒になっていないと意味がない

また、ライフジャケットを着て流されたときは、体を後ろに傾けて無理に泳がない方がよいという。実際にやってみると、浅瀬に流れ着き、立つことができた。

水難学会 安倍淳さん:
流されてパニックになって戻ろうとすると、かえって危険な状態になる。息ができなくなり、危険な状態になる。浅いところまで流されてから立つように心掛ける

ポイント3:一人で助けに行かない

溺れた人を見つけても一人で助けに行かず、まずは落ち着いて声掛けをして、パニックを防ぐことが大切だという。

水難学会 安倍淳さん:
近くにいた人が浮き具もつけずに助けに行くのは2次事故につながる。それを避けて、声掛けをしてあげる。大丈夫、慌てないで、呼吸して流れてと言ってもらうだけでも安心できる

次に119番へ通報し、救助隊がすぐに助けられるよう、相手を見失わないように声掛けを続ける。

水難学会 安倍淳さん:
わが子が溺れていたらすぐに入りたい気持ちはよくわかるが、助けに行って亡くなる事例がすごく多い。それを防ぐためには事前に親子で、こういう危険があるなど話すことが大事

海水浴も注意 離岸流とは?

危険が潜むのは、川だけではない。これからオープンする海水浴場でも注意が必要。
宮城・七ヶ浜町の菖蒲田海水浴場は、2022年の夏は3年ぶりに開設される予定で、多くの利用客が見込まれている。海で一番気を付けたいのが離岸流。

水難学会 安倍淳さん:
離岸流は、どの海岸でも発生する。干潮、満潮によって位置が変わる

離岸流とは、岸から沖へ向かって流れる海水の流れのこと。その流れの速さは、毎秒2メートルに達する場合もある。

この映像は2021年、宮城・気仙沼市の大谷海岸で行われた離岸流の調査の様子。遊泳区域の外で着色剤を海に流したところ、一気に沖へと流れたあと、海岸と平行に広がる様子が確認できた。

水難学会 安倍淳さん:
沖に流されてしまうので、慌てて流れに逆らって戻ろうとせずに、横に泳いで流れから抜けるか、ゆっくり流れて離岸流が収まるのを待って岸に戻る

また、安倍さんは海岸から見える離岸堤にも注意が必要だという。その前の砂浜は浅くなっていて近づきやすいものの、離岸堤の直前は急激に深くなっている。

一番大切なことは、海水浴場のことをよく知る監視員の指示をよく聞くこと。ルールを守ることが楽しい夏休みにつながっている。

(仙台放送)    

仙台放送
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