購読者の減少に直面する新聞販売所。街の隅々まで知り尽くす強みを活かし、コロナで苦しむ地域事業者の食品などの宅配を始めた。その活動は地域の活性化だけでなく、ウクライナからの避難民への支援までと広がりを見せている。

購読者減少に折込広告減少…ダブルパンチの中、市内12の販売所が連携

新聞をじっと見つめるこの男性。その仕事は…

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枝岸新聞舗・枝岸元 所長:
中国新聞の呉東販売所、ご自宅に新聞を届ける会社です。当エリアでは5000部弱配っています

呉市本通りで40年、地域に新聞を届ける「枝岸新聞舗」。父親の後を継ぎ、息子の元さんが所長になって4年。その経営状況は大きく変わった。

枝岸 所長:
やはり新聞自体が若い世代になかなか普及していかないことが、ずっと課題だと思うんですよ。その中、コロナでチラシのクライアントさんの出稿が減り、厳しい状態が続いています

コロナ禍もあり、街から活気が失われていく中、新聞の購読者やチラシの出稿も減少。そこで枝岸所長が考えたのは…

広島・呉市の商店街
広島・呉市の商店街

枝岸 所長:
何が僕たちにとって強みなのかなと思った時に、毎朝 呉で何万というご自宅に一斉に届けるという強い配達力と、中国新聞というブランド力。そういったものをうまく使えないかなというのが、すごくヒントになった

新聞販売所が地元業者の商品を宅配…消費者と業者をつなぐ

自分達の強みをいかして、呉の街を元気にしたい!市内にある12の販売所と連携してスタートしたのが、「呉ものがたり」というプロジェクト。

枝岸 所長:
毎月1回、折り込みチラシで呉のものを販売をしてきました。呉のものを呉の方に知っていただいて、呉を応援するというコンセプト

折り込みチラシで販売するのは、地元・呉の事業者が手がける商品やサービス。
鶏肉卸の会社が作る鍋セットや、クリーニング店の宅配サービスなど、コロナ禍で苦しんでいる事業者とタッグを組み、商品を各エリアの新聞販売所が届けるという、これまでにない取り組みを始めた。

枝岸 所長:
地域を隈なく知っているので、早いんですね。地図見なくても行ける。そこはすごいなと思います。商品をお届けした時に、「美味しかったよ」「また頼みますよ」という声を、今度は事業者さんに届けられるんですよ。そこが一番強い。どういう思いでその商品を作ったかとか、それを購入者にも伝えるというのも仕事だと思うんですね

オンライン販売、自動販売機と販路拡大…事業者も新商品開発

折り込みチラシの次は、販路を広げるためにオンラインでの販売もスタート。

また、プロジェクトを進める中で、2月にはJR呉駅のすぐ近くに自動販売機も設置した。観光客や通勤・通学で行き交う人の多いこの場所で、呉の魅力を発信している。

枝岸 所長:
順調に売れています。次々と商品が出てきますので、お客様も楽しみにしていただいてると思います。冷凍販売はハードルが高いが、その中でも事業者さんたちが工夫して新しい商品を生み出そうとしていることも、すごく僕としては嬉しいです

新たな販路を開拓し活動を始めた呉の事業者。その眼差しは今、枝岸所長と同じその先を見つめている。

鶏肉卸・加工 鳥徳商店・広瀬仁志さん:
自社にとっても、呉の街にとっても、活性化できればいいというのがあって。今まで飲食店に向けていたものを個人向けにと、違う発想でルートを作っていこうと思いましたね

食肉販売 丸昌・甲斐将平さん:
一番驚いたのは、こんなにまだモノって売れるんだというのがありました。自動販売機でもリピーターさんについていただいて、こういった形でいっぱい売っていけるんだというのが分かった

新聞広告での発信から1年あまり。「呉ものがたり」プロジェクトの活動は、着実に仲間を増やし、更なる展開へと広がりを見せている。

“平和ポストカード”売上げでウクライナ避難民にパンを…

枝岸 所長:
これは「平和の鳩」という、子どもたちに平和についてのメッセージを書いてもらうポストカードです。

子どもたちが、平和への思いをしたためて、このプロジェクトの主催財団宛てにポストカードを送る。ポストカード販売の収益は、子どもを支援する施設や団体の活動に使われる。

枝岸 所長:
僕自身が新聞屋さんということで、毎日のように悲しいニュースが飛び込んでくる中で、財団の方と出会って、このポストカードを「呉ものがたり」で売ることになった。その売上げをウクライナから避難された方に寄付することの第一弾として、食パンを送らせていただきました

ポストカードの売上げの一部を使って、呉市の人気ベーカリー「一本堂」が作る食パンを、ウクライナからポーランドへ避難している人たちに4月に寄贈した。

枝岸 所長:
呉の方に平和について考えていただくという事も、僕たちの一つの仕事、役目だと思うんですよ。そういったものを、ポストカードを通じて広めていきたいなと思っています

そのパン店、一本堂では…

一本堂呉中通店・福田嘉子さん:
私ができる事はパンを焼くだけなんですけど、それがそうやって困っている人の所に届くという道筋を作っていただいて、今回すごくありがたいなと思います

(Q.枝岸さんの存在とは?)
福田嘉子さん:

すごく人を大切にされる方だなと思ったのと、全然畑違いの業種の事に対してすごく一生懸命勉強されて話をされるので、すごくこちらも信頼できるし、だから人が集まるんだろうなと思います

枝岸 所長は、活動が広がりを見せていることについて…

枝岸 所長:
楽しいです、すごく。それがまた新聞のファンを作るという事につながってくると思うので。中国新聞として恥じない所長になること、事業者さんのモノをしっかり全国に発信できるという役割を担っていきたいなと思っています

地域と共に事業を営む新聞販売所が、地域のためにと始めた活性化プロジェクトは協力の輪が広がりを見せている。枝岸所長の挑戦はこれからも続く。

(テレビ新広島)