会員制の大型スーパー「コストコ」の人気商品を扱う、いわゆる「コストコ再販店」が人気を集め、宮城でも事業を拡大している。背景にあったのは、コロナ禍で迫られた事業の多角化だった。

この記事の画像(10枚)

仙台に「コストコ再販店」

仙台市青葉区にオープンした「コストコ再販店」
仙台市青葉区にオープンした「コストコ再販店」

8月8日、仙台市内にオープンしたコストコ再販専門店「グッドリテール」。コストコ富谷倉庫店で仕入れた商品を販売する専門店だ。

約20坪と、一般的なコンビニの半分ほどの広さの店内には、およそ190品目、1500点の商品がところせましと並ぶ。会員制のコストコだが、再販店であれば、年会費なしで誰でも利用することができるともあって、人気が高まっている。

コストコを利用したことがないという男子学生は「行ったことがなかった。ここは年会費がかからないのでありがたい」などと話し、コストコ会員だという女性も「近くで来やすいのと小分けにされているのでいい」と話す。再販店のメリットは会員か非会員というポイントだけに留まらないようだ。

グッドリテールの出店は2店舗目。代表の横石弘幸氏は、仙台への出店を決めた理由について「仙台は一人暮らしの学生や、車を持っていないことからコストコに行ったことない人、ご高齢者の方も多く、買い物が便利になれば」と話す。

コストコ再販店「グッドリテール」横石弘幸代表
コストコ再販店「グッドリテール」横石弘幸代表

1号店は「仲卸市場」なぜ?

横石代表が、宮城初のコストコ再販店をオープンさせたのは2022年11月。場所は、塩釜市にある仲卸市場の中だった。もともと、塩釜市内で路線バスや観光バスを扱う会社の社長を勤めていた横石代表。コストコ再販店を立ち上げたきっかけは「コロナ禍」だった。

「コロナ禍で観光バスの事業の売り上げがない状態になり、5年後、10年後を見据えて、どうやったら強い会社になるか考えて、一歩踏み出して新しい事業に取り組んだ」
(グッドリテール 横石弘幸代表)

仲卸市場を1号店の場所に選んだ理由は、若い世代の集客を模索していた市場の試みがあったため。塩釜仲卸市場の今野元博副理事長は、コストコ再販店が市場に出店したことについて、「市場に来れば、なんでも揃う状況を作ろうという計画を進めていたので、その中の1店舗としては非常に影響力のある店舗になっている」と話す。

グッドリテール塩釜仲卸市場店 
グッドリテール塩釜仲卸市場店 

人気の理由は「小分け」販売

この市場にある1号店では、コストコの商品は約150品目1000点を扱っている。輸送費や人件費などが上乗せされるため、コストコでの販売価格と比較すると3割前後高くなる。
一方で、価格が高くても人気商品を気軽に買えるとあって、連日多くの客が店を訪れている。

人気の一番の理由は「小分け販売」だ。12個入りのキッチンペーパーは1個から。トイレットペーパーも、通常であれば30個入りでの販売だが、6個単位で購入可能だ。

食品に関しては、保健所の許可が必要なため、小分け販売は誰にでもできるわけではないが、グッドリテールでは許可を取ったうえで、パンなど食品を小分けにして、販売をしているという。

小分けにして販売されているコストコの食品 販売するには保健所の許可が必要だ
小分けにして販売されているコストコの食品 販売するには保健所の許可が必要だ

「保健所に申請して小分け業の許可をとらないといけない。コーヒーの店を市場内に出店していたので、閉店後に扉を締め切って小分け作業するならと許可をもらった」
(グッドリテール 横石弘幸代表)

消費者のニーズに応えるために

一方、市場での再販店運営には問題もあった。「食品の賞味期限」の問題だ。
営業時間が昼過ぎまでの市場では、どうしても食品の廃棄が出てしまう現状があったのだ。

この問題の解決策の一手として横石代表が期待しているのが、仙台市内にオープンした2号店だ。市場の店で販売しきれなかった商品を、営業時間の長い仙台の店へ運び、販売機会を増やすことが可能になったことで、食品ロスを減らすことにもつながるというワケだ。

仲卸市場店で販売しきれなかったものを仙台の店へ
仲卸市場店で販売しきれなかったものを仙台の店へ

「今までの事業では得られないお客様とのやりとりに、従業員もやりがいを感じ、充実した仕事だと思っている。コストコの商品を買いたいけれど買えない人が多くいると思う。店舗を展開して、喜んでもらえる機会が増えれば」
(グッドリテール 横石弘幸代表)

消費者のニーズの受け皿となり、需要が高まるコストコ再販店。
新型コロナで厳しい環境に置かれた企業が、生き抜くヒントがあるかもしれない。

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。