神奈川県で最大規模とされる暴走族のリーダーが逮捕された。容疑は2つ。去年10月30日に、川崎市内などで暴走行為を繰り返した「道路交通法違反」と、暴走族から脱退しようとした少年に対して、脱退を妨害するメールを送った「神奈川県暴走族追放条例違反」だ。

神奈川最大の暴走族 リーダーは43歳

自称・建築業の藤井敏容疑者は、神奈川県で最大規模の暴走族「川崎宮軍団」(以後、「軍団」と記載)のリーダー。年齢は43歳。軍団は、横浜市や川崎市の暴走族や旧車會など19グループから構成されていたという。いわゆる暴走族などの連合体だ。構成員は、中学生から40代ぐらいまでの男女およそ400人にのぼっていた。

神奈川県警によると、藤井容疑者は、10代から暴走族のメンバーで、暴走行為などにより、繰り返し検挙されていたとのこと。また旧車會に所属したこともあったという。

神奈川県警が捉えた川崎宮軍団の「暴走行為」の様子(去年10月30日)
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旧車會は、年齢を重ねて、経済的に余裕が出てきた暴走族OBらが、「暴走族風」の派手な格好で、バイクなどを集団で乗り回すことで知られる。近年、摘発件数も増え、警察当局も問題視している。

「ハロウィーン暴走」決行 軍団が”尻尾”を出した

軍団が、いつ結成され、藤井容疑者がいつリーダーになったのかはハッキリしていない。藤井容疑者が中心となり、街中をバイクなどで走っている少年少女を見かけると、積極的に声をかけて、軍団にスカウトする。その”やり方”で勢力を拡大していったという。

400人もの大所帯。当然、県警も捜査対象としてマークしてきた。しかし、捜査のために設置されたカメラや警察車両の前では、明らかな暴走行為に及ばず、摘発を逃れてきたという。ところが、この日は違った。

「ハロウィーン暴走」には100台・150人程度が参加したという(提供:神奈川県警)

去年10月30日、軍団が、大規模な「ハロウィーン暴走」を決行したのだ。藤井容疑者の呼びかけで集まったのは、バイクなど100台程度、およそ150人。横浜市から川崎市にかけて、30キロにも渡って集団で走行したという。

県警のカメラは、バイクが、蛇行運転やウイリー走行などの暴走行為を繰り返す様子を捉えた。軍団が、ついに”尻尾”を出したワケだ。中には、ハロウイーンの仮装をしていたメンバーもいたという。藤井容疑者は、この「共同危険行為(道交法)」の疑いで逮捕された。県警は、ハロウィーン暴走に参加した他の150人ついても、立件の可否も含めて捜査している。

「脱退の禁止」「会費3000円」

軍団には、2つの掟(おきて)があった。「脱退の禁止」と「会費」だ。藤井容疑者からスカウトされた少年少女らは、実質的に、そのスカウトを断ることができなかったという。かなり強引な手法だ。そして、いったん軍団に入ると、脱退することも許されなかったとのこと。

また軍団では、メンバーから月3000円の「会費」を徴収していたそうだ。軍団に所属する19グループが、それぞれのメンバーから月3000円を取り立て、それを藤井容疑者に渡していたという。「会費」を集める暴走族があるとは。暴力団の「上納金」と同じシステムと言えるだろう。

川崎宮軍団には、「会費3000円」「脱退禁止」の掟(おきて)があった

ところが、去年12月ごろ、メンバーの17歳の少年が、軍団を脱退する意向をグループLINEに送ったという。すると、藤井容疑者から「自分の都合でさよならは認められない」「都合良すぎる」などの書き込みがあったそうだ。

県警は、この書き込みを入手。藤井容疑者について、神奈川県暴走族追放条例の「離脱の妨害」容疑でも、合わせて逮捕した。「離脱の妨害」が適用されるのは、神奈川県では初めてとのこと。調べに対して藤井容疑者は黙秘しているという。

昔と比べて、暴走族は激減している。上下関係を強いる暴走族の”気質”が、今どきの若者に敬遠されているためとも指摘される。そんな中、脱退を許さず、会費まで徴収する「川崎宮軍団」が摘発されたのは、時代の趨勢とも言える。

記事 923 社会部

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