自民党の圧勝となった2月8日の衆院選では鹿児島でも3選挙区で自民党が勝利。もう1つの選挙区は接戦のすえ中道が議席を死守したが、“高市旋風”は、確かに鹿児島にも吹いたといえる。
圧勝の自民 高市総裁のメッセージ力も要因 中道は大幅減
今回の衆院選、県内の比例における政党別得票率をみると、自民党は44.65%。前回の35.14%から10ポイント近く上回った。
自民党鹿児島県連の藤崎剛幹事長は「正直言ってここまでの信任を得ることは想像していなかった。SNSでの発信の仕方を含め高市総裁のメッセージ力が強かった。県民からこのような結果を頂いたことは非常にうれしく思う」とした上で「大きな責任を負っているので、この信託の重さを考えながら、これから政策活動にまい進していかなければならない」と気を引き締めた。
一方、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」の得票率は19.27%にとどまった。前回の衆院選では立憲民主党が21.53%、公明党が12.51%で、計約34%だったことを考えると、「中道」として挑んだ今回は大きく支持を減らす結果となった。
県内の比例における政党別得票率 自民党は44.65%を獲得した鹿児島1区は自民が議席奪還 参政も比例で復活当選
1区は、前回、約2700票差で川内博史氏(当時は立憲)に敗れた自民党・前職の宮路拓馬氏が、川内氏に約3万5000票差をつけ勝利した。無党派層が多いとされる1区で「風」を味方につけたことが宮路氏の勝利につながったといえるのではないか。
宮路氏は選挙戦の当初から「前回に比べて今回は反応がいい」と手応えを口にしていた。
元々、宮路氏が作り上げた60を超える後援会や友好団体からの推薦など組織の足腰があった上で、高市政権の追い風に乗ろうと、真っ赤な横断幕を掲げたりSNS発信に力を入れたりと、無党派層の取り込みを徹底していた。
一方、中道改革連合から立候補した前職・川内氏は、これまで“敵”だった公明党も味方につけ、盤石の体制が整ったかのように思われたが、選挙期間中に中道への追い風が吹くことはなかった。
陣営は「中道を浸透させる時間が足りなかった」と超短期決戦を嘆いていた。
今回の出口調査で年代別の投票傾向を見てみると、宮路氏は幅広い世代で支持を獲得している一方で、10代から30代では川内氏への支持は特に少なくなっていた。
新党が結成されても風が吹かなかった川内氏に対して、宮路氏が強固な地盤をもとに高市旋風にもしっかり乗れたことが勝利につながったといえそうだ。
さらに1区では、参政・新人の牧野俊一氏が比例で復活当選を果たした。
鹿児島1区 開票結果
(当)宮路 拓馬(46)自民・前 9万2321票
川内 博史(64)中道・前 5万7262票
(比例復活)牧野 俊一(40)参政・新 2万7071票
小山 慎之介(42)共産・新 4228票
元職と前職の一騎打ち 接戦の3区にも高市旋風
自民党・元職の小里泰弘氏と中道改革連合・前職の野間健氏の一騎打ちとなった3区は接戦となった。
与野党関係なく様々な関係者から「野間氏がここまで苦戦するとは」と、驚きの声が聞かれた。
3区の比例の開票結果を見ると、すべての自治体で自民党が最も多くの票を獲得、中道と比べると薩摩川内市で8000票以上、姶良市では約6500票の差がついた。
さらに合計では自民党が8万票近くを獲得したのに対して、中道は4万票と大差がついている。
ただ、選挙区で見ると選挙区内の10自治体のうち、5つの自治体で野間氏が勝利していて、大票田の薩摩川内市では5300票余りの差を付け、野間氏が勝利。約2700票差で敗れた小里氏も比例で国政返り咲きを果たした。
小里氏にも高市旋風が吹いたのは間違いない。しかしそれを背に受けても届かないほど野間氏が地道に地域を回って信頼を積み上げていたことが、選挙区での野間氏の勝因だったのではないか。
鹿児島3区 開票結果
(当)野間 健 (67)中道・前 8万8518票
(比例復活)小里 泰弘(67)自民・元 8万5782票
鹿児島県関連7人の衆議院議員 今後に注目
鹿児島2区は、前職の三反園訓氏が11万5千396票を獲得し3回目の当選を果たした。これまで無所属での出馬だった三反園氏、今回は自民党公認を得ての出馬となり、盤石の体制を整えての勝利となった。
鹿児島2区 開票結果
(当)三反園 訓(67)自民・前 11万5396票
高橋 徳美(56)参政・新 3万5570票
松崎 真琴(67)共産・新 1万7543票
これまでで最も多い4人が立候補した4区は自民党・前職の森山裕氏が10万2727票を獲得。新人3人に圧倒的な差をつけ9回目の当選を決めた。
鹿児島4区 開票結果
(当)森山 裕(80)自民・前 10万2727票
中村 寿(59)国民・新 2万4076票
桐原 郁生(57)参政・新 2万2211票
伊藤 周平(65)社民・新 1万5329票
そして比例九州ブロックで単独出馬した自民党・元職の保岡宏武氏も当選し、鹿児島県関連で7人もの衆議院議員が誕生した。
今回の衆院選は超短期決戦ということもあって争点が見えづらく、あまり議論の深まりは見られなかった印象だ。
政治学が専門の鹿児島大学・藤村一郎准教授は、今回の選挙について「政策的な論争はほとんど起きずに、“高市さんでいいのか悪いのか”というイメージの選挙になった。我々が一番気にしている生活が苦しいとか物価が上がっているとか、社会保障の将来はどうなるのかということが今後出てくる。今後政策が現実になっていき、自分たちの生活がどうなっていくのかしっかり見つめる必要がある」と総括した。
今回自民党が大勝したことを受け、今後様々な政策がスピード感を持って進む可能性がある。そのスピードに乗り遅れないようにしっかりと国会を注視することが必要ではないか。
今回当選した鹿児島県関連7人の衆議院議員が国政でどのような役割を担っていくのか、そして鹿児島にどんな効果をもたらしてくれるのか、しっかり注目したい。
(動画で見る▶【記者解説】衆院選を深掘り 鹿児島に高市旋風は吹いた?)
