「朝、たんぱく質を摂る」
この重要性を伝えようと、2025年9月に設立されたのが「朝たんぱく協会」だ。3人の有識者と企業が連携し、現代人に不足しがちなたんぱく質、とりわけ“朝の摂取”に光を当てている。

その不調、たんぱく質不足が原因かも

そもそも、たんぱく質とは何か。
協会を立ち上げた有識者の1人で、時間栄養学を専門とする広島大学の田原優准教授はこう説明する。

有識者の1人、広島大学・田原優 准教授
有識者の1人、広島大学・田原優 准教授
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「たんぱく質は体のありとあらゆる構成要素。髪の毛も皮膚も骨も臓器も、血液中の成分やホルモン、酵素まで全部たんぱく質からできている。だから欠かせない成分です」
不足すれば、体は正直に反応する。
「体の機能に不調をきたしたり、肌がかさついたりと、さまざまな健康被害につながってきます」

なぜ「朝にたんぱく質」なのか

朝に摂取する理由の1つが「体温」だ。たんぱく質はDIT(食事誘発性熱産生)が高く、糖質や脂質に比べ、エネルギーに変換される際に多くの熱を生み出す。
「午前中は体温が低く、午後に向けて上がっていきますが、そのトリガー(きっかけ)となるのはたんぱく質がメイン。しっかりした論文はありませんが、理論的には朝にたんぱく質を摂ることで体が温まっていくと考えられます」

体内時計への効果(資料提供:朝たんぱく協会)
体内時計への効果(資料提供:朝たんぱく協会)

さらに田原准教授は続ける。
「体内時計を整えるという意味でも、朝のたんぱく質は大事。生活リズムが整い、朝起きやすくなり、しっかり眠れる。肌の調子や冷えの解消など、さまざまな効果が期待できます」

「体を温める」「体内時計を整える」ことに加え、「体型の維持・肥満予防」「心身の活力低下の予防」などが期待される効果としてあげられている。

「朝食は簡単に…」減り続ける摂取量

しかし現実はどうか。
日本人のたんぱく質摂取量は、1995年ごろをピークに減少傾向にあるという。
「1日平均で80gほど摂っていたのが、今は65gまで落ちている。平均すると15gほど減っている」

「朝ごはん」について街の人の声
「朝ごはん」について街の人の声

背景にあるのが、朝食だ。
若い世代ほど朝食を抜く傾向が強く、田原准教授は「広島の若い女性では約40%が朝食を食べていない」というデータも紹介する。

 
 

街で朝の食事について聞くと、こんな声が返ってきた。
「朝ごはんは食べたり食べなかったりで半々くらい」
食べる場合も、内容はシンプルだ。
「パンに、前日に仕込んでおいた野菜の煮込み、果物」
別の人は「おにぎりなど簡単なものに、フルーツを添えるくらい」と話し、忙しい朝は食べるものがどうしても限られてしまうという実感がにじむ。

いつもの朝食に“もう1品”追加

昼食や夕食でたんぱく質を多めに摂る人が多いことから、朝たんぱく協会では「毎食20g」を目標に掲げ、朝食での摂取を呼びかけている。実際の調査でも、各食事におけるたんぱく質の量は朝食で14.6g、昼食で20.4g、夕食で31.4g。朝だけが目標の20gに届いていない。

各食事における「たんぱく質量」(資料提供:朝たんぱく協会)
各食事における「たんぱく質量」(資料提供:朝たんぱく協会)

定番の朝食メニューに当てはめてみよう。
協会によると、和食の場合は、ごはん、味噌汁、卵焼き、ほうれん草のおひたしで約14.1g。洋食でも、食パン、目玉焼き、サラダ、コーヒーで約13.1gにとどまる。
これだけ品数をそろえても、20gに満たないのが実情。日本人全体で見ると、1日あたり約5.4g不足しているというデータもあり、協会では「朝食にもう1品追加」をすすめている。

広島大学・田原優 准教授
広島大学・田原優 准教授

田原准教授は、量だけでなく「摂り方」も重要だと指摘する。
「まとめて摂ればいいと思われがちですが、1日3回ぐらいに分けて摂らないと、せっかくのたんぱく質も余った分が尿として出てしまう。常に体の中のたんぱく質濃度を高めておくことが大切です」

朝20gを1カ月で“効果を実感”

では、朝食で20gのたんぱく質を摂るには、何をどれくらい食べればいいのか。

たんぱく質20gは、どれくらい?
たんぱく質20gは、どれくらい?

協会の算定による目安は次のとおりだ。
    •    納豆 50g(約1パック)…8.3g
    •    卵 50g(Mサイズ1個)…6g
    •    豆乳 200ml(コップ1杯)…7.2g
    •    ヨーグルト 150g…5.4g
    •    ちくわ 60g(約3本)…7.9g
※いずれもおよその数字

豆乳200mlあたり約7.2gのたんぱく質を摂取できる
豆乳200mlあたり約7.2gのたんぱく質を摂取できる

例えば、納豆50g、卵1個、豆乳200mlを組み合わせれば、朝の目安となる20g前後に届く計算だ。
ただ、田原准教授はこんな点も強調する。
「そもそも朝食を摂っていない人は、牛乳や豆乳、ヨーグルトなど、さっと摂れるものから始めてほしい。最初からゴールを目指さないことも大事です」

朝にたんぱく質を摂る習慣は、どれくらいで変化を感じられるのか。
「実験では、1週間だと効果は出にくい印象ですが、1カ月ほど続けると、体調がよくなった、眠れるようになった、便通がよくなったなど、さまざまな声が聞かれます。目指せ1カ月、ですね」

朝にたんぱく質を意識する。いつもの朝食にもう1品。その小さな積み重ねが、午前中から体温を上げ、1日の質を底上げしてくれるかもしれない。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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