軽率な韓国の政治家たち

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領は日本の鳩山由紀夫元首相と会談し、鳩山氏によると「韓日関係改善の先生になってほしい」と言ったらしい。元首相だから会うのはしょうがないとしても、この人にこれ言っちゃダメだ。

鳩山由紀夫元首相
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2015年8月13日 西大門刑務所跡地でひざまずいて謝罪する鳩山元首相

日韓関係を史上最悪にした文在寅大統領がようやく青瓦台を去り、日米など民主主義陣営との連携を訴える新大統領が就任した。今朝(5月11日)の日本の新聞各紙は「日米と連帯」「対日改善なるか」「友好ムード優先」との見出しで関係改善への期待をにじませたが、新大統領がこの調子だとあまり前のめりにならない方がいいと思う。

任期を終えて大統領府をあとにする文在寅前大統領(9日)

先日外相候補の朴振という人が日本の林芳正外相とカラオケで「釜山港へ帰れ」をデュエットしたいなどと言い出し、「日韓関係の深刻な状況をわかっているのか」と失笑を買ったが、どうも韓国の政治家は軽率と言うか、緊張感に欠けている。

林外相(左)と新政権の外相候補となっている朴振(パク・チン)氏(9日夜)

岸田文雄首相は悩んだ末に、韓国からの代表団と会ったし、「日韓の間では難しい問題が存在するが、このまま放置することはできない」と述べるなど、関係改善に意欲を見せている。

ただ韓国側の慰安婦合意の事実上の破棄にしても、旧朝鮮半島出身労働者の判決にしても、ボールは韓国側にあり、日本はとりあえずどうすることもできない。だから日本側があまり「関係改善」に言及すると「軽率な」韓国側は「日本が譲歩してくれる」と誤解しないか心配なのだが、今のところ岸田氏も林氏も日本が譲れない線は守っていると思う。

「日本が譲れ」と言う日本のメディア

日本の外務省も話を聞く限り「変な譲歩」をする気は全くないようなので実は安心している。あとは一部のメディアだけだ。

来日した韓国の代表団が「懸案解決は一方の努力だけでは難しい」と繰り返し主張し、日本のメディアもその発言を大きく伝えていたが、この「双方が努力しよう」というのは文在寅政権が使っていたレトリックで、日本としては「いや、そちらが約束を破ったんだから、まずそちらが正常な状態に戻してください」とずっと反論している話だ。

そういう経緯を無視して韓国新政権はおそらく今後も「双方が努力しよう」「双方が譲歩しよう」と言い続けるだろう。なぜなら新政権は議会で過半数を持っていないため、野党に気を遣わねばならず、文在寅政権の反日政策をそう簡単に修正できないので、日本の譲歩頼みなのだ。

尹大統領(右)に岸田首相の親書を直接手渡した林外相(10日)

韓国政府が「双方が譲歩しよう」と言い続ければ、日本のメディアも「なぜ日本は譲歩しないのか」と報道するだろう。するとそれを見た米国のバイデンは「日本も譲ったら」などと言い出しかねない。バイデンの外交感覚はあまりシャープではないのだ。

「愛の不時着」は好きだけど

ただメディアがいくら日本の譲歩をあおっても、日本国民には響かないだろうし、岸田さんも林さんもそのあたりは間違えないのではないかと思う。まあ万一間違えても安倍晋三元首相が速攻でダメ出しするだろうし。

経済や安保を考えると日韓の関係改善は必要だ。日本に観光に来たい韓国人はたくさんいるし、日本人だって韓国のBTSや「愛の不時着」は大好きだ。だからと言って安易な妥協はしてはいけない。もちろん鳩山由紀夫さんにはこれ以上余計なことはやめてほしいのだ。

【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫


フジテレビ報道局上席解説委員。2020年4月から立命館大学客員教授。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。

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