福井県の沖合に、いま「エチゼンクラゲ」ともいわれる大型クラゲの漂着が確認されている。大きいものでは体長2メートル、重さは100kgを超えるものも。
過去に県内の沖合には、2005年、2007年、2009年と2年おきに大量に漂着し、定置網漁などに被害をもたらした。
その大型クラゲが再び、県内の漁業者を悩ませている。

クラゲの毒で魚が白く変色

福井・南越前町の河野漁港。

田島嘉晃アナウンサー:
時刻は午前5時です。これから定置網を引き上げるため、漁船が出発します

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漁港から約10分。沖合1kmの網を張ったエリアに到着した。定置網の中には、体長は最大で80cmほどの複数の大型クラゲが浮かび上がっていた。

網の中央に大型クラゲを集める漁師たち。クラゲを網の中からすくい上げ、海へと戻す。

漁師:
もうきりがないです。毎日毎日大変です。もう勘弁してほしい。クラゲの毒で魚が白くなって、売り物にならない。商売にならない

さらに漁師にも…

漁師:
うわ!跳ねる!痛い!

ーー大丈夫ですか?

漁師:
顔がめちゃめちゃ痛い

クラゲの毒をまとった魚がはねたことで、漁師の顔に毒が付いた。

漁師:
15年漁船に乗っているが、10年ぐらい前はかなり大型クラゲが入った。一度落ち着いたけど、毎年ぽつぽつと増えてきて。この時期にこんなにいるのはびっくり

体長50cm以上の大型クラゲは中国大陸の沿岸で生まれ、東シナ海を通って対馬暖流に乗る。一般的に、8月から10月にかけて日本海沿岸に漂着する。

海の情報を分析して提供している漁業情報サービスセンターによると、2021年 初めて県内の定置網に大型クラゲがかかったことが確認されたのは、8月18日。
8月27日から9月1日までの6日間で、県内の沿岸では多いところで300匹を数えた。

“漁師泣かせ”のクラゲに危機感

この状況について県は、山陰地方の様子を見ながらクラゲの動向に注目していきたいとしている。
福井県定置漁業協会の坂下祐二会長は、危機感を募らせている。

福井県定置漁業協会・坂下祐二会長:
漁師にとっては一番迷惑な話なので

協会は、すでに多くの大型クラゲが定置網にかかっていることを受け、県に対して大型クラゲがさらに大量発生した際に備え、駆除や漁業経営の下支えなどの支援を要請した。

福井県定置漁業協会・坂下祐二会長:
あんまり大量に大型クラゲがくると、定置網漁が行えない。定置網を切り上げる、漁期の期間を短くすることも考えられる。漁師泣かせですね

福井県水産課によると、大型クラゲが大量に漂着する理由はわかっておらず、見通しも示せない。

過去の大量漂着を受けて網などは改良されてきているが、一番の大きな被害は風評被害による魚の価格の低迷だということ。漁師は不安を募らせている。

(福井テレビ)

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