マダニが媒介する感染症SFTS=重症熱性血小板減少症候群。宮崎県内では、2025年に入ってSFTSへの感染が2人確認されており、うち1人が亡くなった。宮崎県のSFTS累計感染者数は119人で、全国で最も多くなっている。

SFTSの感染経路はマダニからヒトだけでなく、ペットのネコやイヌからヒトに感染した事例も報告されている。

そうした中、宮崎大学などの研究チームが、あぶらとり紙を使ってネコへの感染を簡単に検査できるという研究結果を発表した。

あぶらとり紙で簡単検査

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あぶらとり紙を使ったネコのSFTSウイルスの検出に成功したのは、宮崎大学農学部の齊藤暁准教授と獣医学科3年の福嶋優莉さん、それに宮崎市の研究グループだ。

研究では、フィルム製のあぶらとり紙を使い、ネコの耳から皮脂を採取。

その皮脂に含まれる遺伝子、RNAを利用してSFTSウイルスや猫エイズウイルスを検出することに成功した。

これまであぶらとり紙を使ってヒトの皮脂を採取し、肌や体の状態を把握する研究は行われていたが、今回、ネコにも応用できることを世界で初めて確認したという。

この検査では採血をする必要がなく、飼い主が自宅で検体を採取することもできるため、ネコへの負担軽減や獣医師の感染・ケガのリスクを減らすことも期待されている。

藤崎祐貴アナウンサー:
では実際に私もやってみます。あぶらとりフィルムをネコの耳に入れると、このように簡単に皮脂を採取することができます。

宮崎大学農学部獣医学科 3年福嶋優莉さん:
私は幼い頃から人と動物の心身の健康を守る獣医師になりたいと志してきて、今回、人の安全性も担保してネコの心身の健康にも良い診断方法を開発することができ、うれしく感じている。

研究グループはこの技術について特許を申請していて、今後さらに精度を上げ、実用化を目指していきたいとしている。また、この技術は理論上、他の動物にも応用が可能だということで、今後さらに研究を進めていくということだ。

ワクチンや有効な治療法がない中、感染を未然に防ぐために、この技術の実用化に大きな期待がかかる。

(テレビ宮崎)

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