ゴールデンウィークの恒例行事として地域に親しまれてきた「垂水カンパチ祭り」が、2026年は開催延期となった。背景にあるのは、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による重油不足だ。「いつか必ず開催したい」——垂水市漁協の組合長は、そう語った。
カンパチのつかみ取り、餌やり体験……地域の春の風物詩
垂水市漁協が毎年ゴールデンウィークに開催している「垂水カンパチ祭り」は、カンパチのつかみ取りや餌やり体験など、子どもから大人まで楽しめる多彩なイベントで来場者を集めてきた。地元の海の恵みを直接体感できるこの祭りは、垂水の春を代表するコミュニティイベントとして定着している。
2026年は5月3日の開催に向けて調整が進んでいたが、垂水市漁協は4月2日、開催の延期を決定した。

ホルムズ海峡封鎖が、地方の漁師の生活を直撃
延期の直接の原因は、漁船の燃料となる重油の確保が難しくなったことにある。
ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、日本国内への原油供給に影響が及び、地方の漁業現場にもその波が押し寄せている。重油は漁師にとって「生命線」とも言える存在だ。船が動かなければ、魚は獲れない。養殖の管理も立ち行かなくなる。

現時点では、カンパチへの餌やりなど養殖業務への深刻な影響は出ていないという。しかし、先行きが見通せない状況が続いており、資材の価格も上昇している。カンパチ持ち帰り用の発泡スチロールや、カンパチ丼の容器といった祭りの運営に欠かせない物品まで、調達が難しくなっているのが現状だ。
「漁師が暗い表情をしているのをお客さんに見せられない」
垂水市漁協の篠原重人組合長は、今回の決定をこう振り返る。
「漁師が暗い表情をしているのをお客さんに見せられない。苦渋の決断だった、いつか必ず開催したい」

地域の活気を伝えるべき祭りの場に、不安や焦りを持ち込むわけにはいかない——そんな思いが、組合長の言葉ににじんでいる。来場者への配慮と、漁師たちの現実との間で下された、重い判断だった。
養殖業者も支援要請へ、知事への要望書提出を準備
影響は垂水市漁協にとどまらない。県内の養殖業者で構成される県かん水養魚協会は、支援を求めるため、近く塩田知事に要望書を提出する予定だという。燃料費高騰と資材調達難は、鹿児島の養殖業全体が直面する課題となっている。
世界情勢の変化が、地方の漁業コミュニティの日常にまでじわじわと影響を与えている。垂水カンパチ祭りの再開を、地域の人々は待ち続けている。
(動画で見る▶垂水カンパチ祭り延期 「重油確保が難しい」燃料高騰でGW恒例行事が断念)
