股関節の痛みの原因となる「変形性股関節症」。加齢などで軟骨がすり減り、骨同士がぶつかることで発症する。国内の患者は100万人を超えるとされ、特に日本人に多い体の構造が原因となることも。気づかないうちに進行するこの病気のメカニズムと、今日からできる予防法を紹介する。
タイヤがすり減るように…軟骨が失われ骨同士がぶつかる
股関節は、骨盤の受け皿である「臼蓋」と、足の骨である「大腿骨」で構成されている。この二つの骨の間には、クッションの役割を果たす「軟骨」がある。

福井赤十字病院の石川正洋医師は「この軟骨が何らかの原因で失われると、骨同士が直接ぶつかり、削れてしまう。これが変形性股関節症」と説明する。
軟骨はタイヤのように、年齢を重ねるごとにすり減っていく。そのため、高齢化に伴って患者数は増加傾向にあり、国内には100万人を超える患者がいるとされている。

多くの場合、長い時間をかけて進行し、初期には痛みを感じることが少ないのがこの病気の特徴だ。
日本人女性に多く見られる体の構造が原因に
「例えば40歳ぐらいから痛みが出る人が多い。痛いけれども生活はできるという期間が20年ぐらいある」と石川医師。
その20年の間に軟骨は少しずつすり減っていく。そして、「骨と骨に接して壊れだすと急に進むので、60歳ぐらいから急に痛くなるパターンが多い」と続ける。
症状が進行すると、歩くたびに違和感を覚えたり、安静にしていても痛みが出たりすることがある。
この病気の大きな要因の一つに、日本人、特に女性に多く見られる「臼蓋形成不全」という体の構造があるという。

生まれつき、大腿骨を受ける臼蓋のかぶりが浅い状態を指す。これにより「擦り減りが早くなりやすいといわれている」と石川医師。
その他、股関節に負荷がかかる体重増加や加齢、骨の強度が低下する骨粗しょう症なども原因として挙げられる。
水中ウォーキングや自宅でのエクササイズで予防を
変形性股関節症の予防には、急激な体重増加を防ぐこと、そして筋力をつけることがポイントとなる。
石川医師は「基本的には、できるだけ股関節には体重が乗ってほしくない。でも筋力はつけてほしいので、理想的なのはプールなど水中で歩くこと」と推奨する。

自宅で股関節周りの筋肉を鍛えられる簡単なエクササイズも有効だ。
1つ目は「もも上げ運動」。股関節の前にある腸腰筋を鍛える。
背筋を伸ばして椅子に座り、骨盤が後ろに倒れないように注意しながら片足を上げる。これを15回行う。

2つ目は「ヒップリフト」。お尻の後ろにある大臀筋を鍛える運動だ。
仰向けで膝を立て、両足で床を蹴る力でお尻を持ち上げる。これも15回繰り返す。

最後は、お尻の横にある中臀筋を鍛えるエクササイズ。横向きに寝て足をしっかり伸ばし、上の足を真上に30センチ程度持ち上げる。
骨盤を固定して行うのがポイントで、15回行う。
これらの運動を、痛みが出ない範囲で毎日継続することが予防につながる。
変形性股関節症は、体の構造上、日本人がなりやすい病気の一つ。その予防や進行を遅らせるためには、適正な体重を保ち、股関節周りの筋肉をつける運動を続けることが重要だ。
