鹿児島銀行と肥後銀行が経営統合して誕生した九州フィナンシャルグループが、両行の基幹系システムを統合しないと発表した。「それぞれ100億円程度のコストがかかる」として費用対効果が見合わないと判断したもので、将来的に別の地方銀行がグループに加わる際の「足かせ」にしたくないという狙いも明かした。
「それぞれ100億円程度かかる」——コストの壁
銀行の基幹系システムとは、預金や為替をはじめとした中枢業務を支える、いわば銀行の「心臓部」にあたるインフラだ。経営統合を果たした銀行グループがこのシステムを一本化すれば、長期的な経費削減や事務作業の効率化が見込めるとされており、統合効果を最大化するうえで重要な課題とされてきた。
しかし九州フィナンシャルグループは3月30日の会見で、「鹿児島銀行と肥後銀行でそれぞれ100億円程度かかる」とし、費用対効果が合わないと説明した。鹿児島と熊本、それぞれの銀行に100億円規模の投資が必要となるとなれば、統合によって得られるメリットを差し引いても、踏み切るハードルは高い。

「足かせになる」——将来の拡大も視野に
見送りの理由はコストだけではない。九州フィナンシャルグループの郡山明久会長は会見で、「基幹システムのためにそれが足かせとなって、(別の地銀が)統合できないことがないように、という考え」と述べた。

つまり、無理に基幹系システムを一本化してしまうと、将来グループへの参加を検討する別の地方銀行が、システム対応の複雑さや費用負担を理由に二の足を踏んでしまう可能性がある。九州フィナンシャルグループは、鹿児島・熊本の2行にとどまらず、将来的なグループ拡大をも念頭に置いた判断をしたといえる。
では、連携はどう進める?
基幹系システムの統合は見送られるが、グループとしての連携強化が止まるわけではない。九州フィナンシャルグループは代替策として、顧客情報などを共有しやすくなる仕組みを整えるとしている。また、融資や証券を管理する別のシステムについては、順次統合を進めていく方針だ。
基幹系という「心臓部」には手をつけず、周辺の仕組みから少しずつ連携を深めていく——現実的なコストと将来の柔軟性を両立しようとする、グループとしての方向性がうかがえる。
鹿児島と熊本という、九州を代表する2つの地方銀行が手を結んだ九州フィナンシャルグループ。その歩みは、地域金融のあり方を問い直す試みとして、引き続き注目を集めそうだ。
(動画で見る▶九州FG、鹿児島銀行と肥後銀行の基幹システム“統合せず” 『費用対効果が合わない』)
