看板猫として大活躍中のおやかただが、ボス猫としての牙は完全に抜け落ちてしまったのだろうか?三浦さんに聞いてみると…。
「あるキジネコの子をなぜか敵とみなしていて、会うたびに威嚇しています」
ボス猫時代の風格を残し、今でも近辺の野良猫に慕われているというおやかた。
かつてライバルだった猫と餌場で顔を合わせることもあるというが、「拳で語り合った者同士の絆があるのか、ちょうどいい距離感で接している」と三浦さん。
そんなおやかたにも、弱点はあるようで…。
「予測できない動きをするせいか、小さいお子さんを見るとすぐ逃げます(笑)」
「どこにも行かないでほしい」
おやかたは旅館にある変化を与えてくれたと、三浦さんは語る。
カウンターが混み合う、チェックイン・アウトの時間帯も、おやかたが近くでゴロゴロしているだけで、待ち時間を癒やしの時間に変えてくれているという。
「スタッフとお客さまに、心の余裕をもたらしてくれている気がします」
そんな旅館にとって欠かせない存在となったおやかたに、三浦さんは退勤の際に必ず伝えていることがあると話してくれた。
「じゃあね、また明日ねと声をかけるようにしています。明日も必ず来てくれる保証はないので」
おやかたは旅館に居着いているとはいえ、飼い猫ではない半野良猫。“どこにも行かないでほしい”という思いから、そうした声かけをしているのだという。
縄張り争いに破れ、さまよっていた元ボス猫に新たな居場所をくれた女将。
おやかたが毎朝欠かさず旅館へやってくるのは、あの日の恩に応えたいという、彼なりの誠実さの表れなのかもしれない。
(画像提供:「姫宿 花かざし」)
