能登半島地震の発生から2年4カ月となる2026年5月1日、石川県七尾市の石崎町で、公費解体などによって更地になった土地を花でいっぱいにしようという「一人一花 in 能登半島」の活動が行われた。俳優の常盤貴子さんがアンバサダーを務めるこの活動、今回は15カ所目となる節目の回だ。そして常盤さんはこの日、特別なサプライズを用意していた。突然登場したのは、俳優の仲間由紀恵さん。さらに住民たちも、前日が誕生日だった常盤さんへのサプライズ返しで会場を盛り上げた。地震によって住宅が半分ほどに減ったという東三区に、今日また新しい花の庭が生まれた。
常盤貴子×仲間由紀恵が能登に集結!公費解体後の更地を花畑に変えた

朝の石崎町に、常盤貴子さんの明るい声が響いた。
「きょうはサプライズで……なんとなんとなんと、仲間由紀恵さんです。由紀恵ちゃんが駆けつけてくれました」

集まった住民たちがどよめく中、仲間由紀恵さんが姿を現した。仲間さんはこの活動への参加が初めてだといい、「ひょいと来てしまいました」と柔らかな笑顔でこう続けた。
「私も初参加になります。皆さんと一緒に素敵なガーデンが作れることを楽しみに今日参りましたので、どうぞよろしくお願いします」
毎回のように能登に足を運んできた常盤さんが、活動の仲間を連れて現れたことで、会場の空気は一気に和やかなものになった。

去年3月から始まり、今回が15カ所目
「一人一花 in 能登半島」は、地震によって解体された建物の跡地に花を植え、地域の憩いの場にしようと去年3月にスタートした活動だ。少しずつ場所を広げながら続けられ、今回の石崎町・東三区が今年最初の活動場所となり、通算15カ所目を数える。

会場となった七尾市石崎町の東三区は、毎年夏に行われる「石崎奉燈祭」で知られる地域だ。高さ10メートルを超える巨大な奉燈が町を練り歩くこの祭りは、地域の誇りでもある。しかし能登半島地震によって、この地区の住宅は半分ほどに減ってしまったという。かつての活気ある町並みは大きく変わった。

庭の名前は「左近殿山ガーデン」
新しく生まれた庭の名前は、住民たち自身が決めた。くす玉が割られ、「左近殿山ガーデン」という名前が披露された。「左近殿山」とは、この地区に伝わる奉燈の名前だ。地域のシンボルである奉燈の名を庭に刻むことで、失われた日常への思いと、復興へ向ける意志の両方が込められているように感じられる。

今日の活動に向けて、住民たちは総出で準備を整えてきた。中でも目を引いたのが、住民が手作りで用意したという井戸だ。このイベントのために地元の方々が作り上げたもので、今後はこの井戸の水を使って、今日植えた6種類200株の花を住民たちが育てていく予定だ。
「空き地がたくさんある。お花や花壇があればいいな」
地域の世話人である竹内祐子さんは、この日の活動についてこう語った。
「壮年団、青年団、町会、女性会は、仲良くみんなで盛り上げるのに頑張ってくれました。空き地がものすごいあるので、お花や花壇があればいいなと思います」

空き地は、まだ多く残る。だからこそ、花を植えることの意味は大きい。ガーデンに足を運んだ住民の一人は、活動に参加した感想をこんな言葉で表した。
「(町の)明るさも出てきとるし、通る人も、こうやって植えた経験がある人は常に目がそっちに(花に)行くんじゃないですか。四季の花も出てくるでしょ。またそれもいいね。」
「綺麗なのが一番嬉しい。癒されます。水やり一生懸命やります。」

花を植えるという行為は、単に土地を整備するだけでなく、その場所に通う理由を生み出す。毎日の水やりが習慣となり、花の成長を見守ることが、地域の人々をゆるやかにつなぎ直していく。
住民からのサプライズ返し 「一生の思い出になりました」

この日、会場ではもうひとつのサプライズが用意されていた。実は前日が誕生日だったという常盤さんに向けて、住民たちが「ハッピーバースデー」の歌を歌い、誕生日を祝ったのだ。
「めでたくもないんですよ、本当に。できれば静かに過ごしたかったです」と苦笑いしながらも、常盤さんの表情は明らかに嬉しそうだった。

仲間さんも「初めてじゃないですか、こういう活動でサプライズ返しみたいなことされるの」と笑顔で問いかけると、常盤さんはこう答えた。
「ガーデンでお祝いしていただいたのは初めてで、一生の思い出になりました」
活動を続けてきた場所で、思いがけず祝福を受ける。サプライズを仕掛けてきた側がサプライズを返されるというこの場面に、この活動と常盤さんたちの間に生まれた信頼と親しみが滲み出ていた。

「ガーデンは作るのも大事だけど、育てていくのが一番の目的」
花壇を作った後に何が起きるか。常盤さんはそこに最も大きな意味を見出している。
「地域のコミュニケーションがすごくできている、すごく仲が良い地域みたいで、だからそこでこのガーデンがどう育っていくのか。やっぱりガーデンは作るのもそうなんですけど、その後、お花を育てていくのが一番の目的なので。皆さんがやってくださることを、私も楽しみにしています。」

仲間さんも同じ思いを言葉にした。
「ガーデンが育つのも楽しみですし、地域の皆さんがどんなコミュニケーションをここでとっていくのかな、どんなことが起こっていくのかなというのも楽しみです。」

そして常盤さんはこう締めくくった。
「また私たちもふらっと遊びに来るので、その時に皆さんがお手入れとかしている姿を見られたら、それは幸せだなって思います。」
花が結ぶ、地域の記憶とこれから
能登半島地震から2年4カ月。東三区の土地にはこの日、6種類200株の花が根を張った。左近殿山ガーデンという名を持つこの場所は、地域の奉燈の記憶を受け継ぎながら、新しい日常のよりどころとなっていく。

壮年団、青年団、町会、女性会が力を合わせてこの日の準備を整え、手作りの井戸まで用意した。そのことがこの地区の結束の強さをよく示している。常盤さんが「すごく仲の良い地域」と語った通り、人と人のつながりが、この場所の土台になっている。
一人一花 in 能登半島の活動はこれで15カ所目を迎えた。更地に花が咲き、人が集まり、会話が生まれる。その積み重ねが、能登の復興の歩みを着実に前へと進めている。
(石川テレビ)