大分・別府市にある温泉旅館「かんなわ ゆの香」。ここには、修行中の“みにゃらい女将”がいる。猫のゆずちゃん(メス・8歳)だ。
旅館の壁から救出されたというゆずちゃん。保護の経緯と看板猫としての働きぶりについて、女将の葛城さや香さんに聞いた。
壁の中から「猫の声」が聞こえてきた
きっかけは2017年4月の朝、館内のどこからともなく聞こえてきた「ニャーニャー」という鳴き声だった。
葛城さんは「猫が紛れ込こんだのかも…」と思い、スタッフたちと館内や外を探すも、半日経っても結局、見つけることはできなかった。

夜になって、時刻は午後10時ごろ。心配していた葛城さんは再びどこからか鳴き声を聞く。出どころをたどると、大浴場へと向かう廊下の壁の中から声がすることに気付いた。
急いで助けを呼ぶが、救出は難航。のこぎりでやっと、壁に穴を開けてもらうと…。

「手のひらサイズの子猫がいました。母猫や他の猫は見当たらなかったので、どこかの隙間から入り込んでしまったのかなと思います」
旅館の“みにゃらい女将”として
救出した子猫を獣医師に見せたところ、生後1カ月ほどで、健康状態も問題なし。
まん丸な目に葛城さんは心を奪われ、“みにゃらい女将”(見習い女将)として旅館に迎え入れることを決めたという。大分名産のかんきつ類にちなんで、「ゆず」と名付けた。