年金は、もらい始めるタイミングによって生涯でもらえる金額が変わる。では、何を基準に判断すればいいのか。押さえておきたい「繰下げ・繰上げ受給」の損益分岐点について、マネーコンサルタントの頼藤太希さんが解説する。
文=頼藤太希 図版=(株)Money&You
老後にもらえる年金の受け取りは原則65歳。しかし希望すれば、60〜64歳で受給を開始する「繰上げ受給」、66〜75歳で受給を開始する「繰下げ受給」も可能です。
65歳より前倒しでもらう場合は、65歳時点の年金額よりも減額されます。逆に66歳以降に遅らせてもらえば、65歳時点の年金額よりも増額されます。
いつから受け取り開始をするかによって、毎年もらえる年金額が変わります。
となると気になるのは、繰上げ受給・繰下げ受給した場合の「損益分岐点」でしょう。
繰上げ・繰下げでどれくらい変わる?
繰上げ受給は、65歳から1カ月早めるごとに受給率が0.4%ずつ減少します。60歳まで繰り上げることができますので、その場合の受給率は65歳時点の年金額の76%となります。つまり、もらえる年金額が24%減です。
繰下げ受給は、65歳から1カ月遅らせるごとに受給率が0.7%ずつ増えます。65歳◯カ月で受け取ることができず、繰下げ受給の受け取り開始は66歳以降です。75歳まで繰り下げることができますので、その場合の受給率は184%となります。つまり、もらえる年金額が84%増です。
絶対に忘れてはいけないルールとして、「一度受給を開始するとその受給率が一生続く」という点です。受給を開始した後に変更が一切できません。つまり、繰上げ受給をしたものの、年金額が少ないから取り消す、ということはできないということです。
「何歳から受け取るか」は慎重に選ばないといけないのです。
「手取り」で考えなければ意味がない
また、ここまで述べている受給率は、65歳時にもらえる年金の「額面」に対するものです。繰下げで年金額面が増えても、「手取り」が同じ金額で増えるわけではない点に注意です。
