下は中学生、上は80代の野球チーム

障害があっても自分ができる精いっぱいのプレーをする!
それが障害者野球のルール。
岡山県のチーム「岡山桃太郎」。下は中学生から、上は80代まで…選手たちは同じボールを追いかけている。
総監督を務める副松正信さんは、御年77歳。

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選手たちに声をかける副松さん。
また、練習を見に来た選手の赤ちゃんにも…

副松正信さん:
お母ちゃん似か? お父ちゃん似か? 目がお父ちゃん似みたいな気がする

選手:
(入団した時は)高校生。

副松正信さん:
そうやな。高校行って、電車で通ってたな

副松正信さん:
(選手のことは)大体分かる。一緒にいれば話をするし

副松さんは、チーム発足から36年、選手たちの成長を見守ってきた。

藪下浩武さん(26):
(副松さんがいると)落ち着く。いてくれて、見てくれて、声かけてくれるので

井戸千晴さん(25):
いろんな意味で心の支え。いるだけで全然、チームの雰囲気が変わってくる

福間幸夫さん(80):
私も年だけど、お父さんみたい

障害があっても野球を楽しめる場所を

副松正信さん:(1995年)
勝ち負けは度外視というとおかしいが、和気あいあいとやれるのが一番いい

まだ「バリアフリー」という言葉さえ一般的ではなかった時代、副松さんは、障害があっても野球を楽しめる場所をとチームを立ち上げた。
副松さんの足は生まれつき、左右の長さが違う。

副松正信さん:
自分は歩いている時、足が悪いと思っていない。はたから見たら足が悪いなあというだけで

副松さんの長男・昌彦さんにも重い障害がある。昌彦さんも野球が大好き。

副松正信さん:
(これは)プロ野球の選手名簿。春になった春の、夏になったら夏の高校野球(の特集雑誌を見せる)

ーー息子さんと「岡山桃太郎」のメンバーへの気持ちは?

副松正信さん:
同じ障害があってやっている人が多い。こういう子がいたから(メンバーにも同じ気持ちで接する)

副松さんは、息子のためにも野球を続けている。

連覇をかけた全国大会…コロナ禍で中止に

「岡山桃太郎」は全国大会出場を果たし、着実に力をつけていった。
2008年には初の全国大会準優勝。優勝という30年来の夢が近付いた。
さらに、若い選手たちが入団し、優勝が狙えるチームに。
そし2019年、ついに「岡山桃太郎」は念願の日本一になった。

2020年11月、2連覇を懸けて全国大会に挑む予定だった。
しかし…新型コロナの影響で、全国大会は中止になった。

副松正信さん:
できると思ってた。2連覇がかかっているし、みんな行きたいのが分かってるし、私も行きたかった

42歳になった長男の胸に、ことしは優勝の金メダルをかけてやることができなくなった。
仕事をリタイアした副松さんは、長男の介護が中心の日々を送っている。
77歳の体には、重労働。

副松正信さん:
(お風呂には)小さい時から私が入れている。もう慣れている。僕が体力落ちてきた

それでも、野球で頑張る姿を長男・昌彦さんに見せたいと思っている。

選手たちに送られる温かなまなざし

体が動かなくなってもできることを精いっぱい! そして選手たちには、息子と同じように温かなまなざしを送る。

ーー(選手たちのプレーは)合格ですか?

副松正信さん:
普段、練習あまりしてないができている

副松正信さん:
全国大会がなくなっている。みんな前向きに受け止めてくれているか分からなかった

選手は…

早嶋健太さん(25):
チャンスが増えた。また活躍できる。もっといいパフォーマンスが出せる成長期間。僕は前向きに

吉田健一郎さん(25):
来年あると信じて、練習頑張っていこうと思う

槙原淳幹さん(31):
大会はないけれど、楽しみ。「岡山桃太郎」があってよかった

副松正信さん:
今、選手団結できている。2連覇またいけるんじゃないかな。みんな、こうやって明るくやってくれることが僕も幸せ

障害者野球には、困難を乗り越える力がある。
副松さんが注いだ愛情は、こんな時代にあっても、選手たちをさらに強くするはずだ。

(岡山放送)

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