普段、あまり意識することのない排泄。しかし、親などの介護で排泄ケアを行うとなると、互いの心身に重く負担がかかる。

排泄ケアの第一人者であり、90代の母親の介護や30年以上の看護師としての経験から、排泄ケアの大変さを体感した、西村かおるさん。

著書『「排泄介護」のお悩み解消ブック トイレ介助、オムツの使い方、下痢・便秘時のお世話のコツ』(翔泳社)から、排泄介護に抵抗感があるのは当たり前、を一部抜粋・再編集して紹介する。

悩んだり「嫌だ」と思うのは当然

これから排泄介護に向き合うあなた、すでに排泄介護を行っていてお悩みのあなた。この本を読んでくださって、ありがとうございます。排泄介護に迷いや悩みはつきもの。この本では、あなたの気持ちや負担を少しでも楽にするヒントをお示ししたいと思っています。

排泄介護を難しくする一因は「排泄物は汚いもの」という、本能的な嫌悪感です。特に高齢者では腸内細菌のバランスが崩れていることが多く、便のニオイが強く、色も見た目も悪いので、抵抗感をおぼえるのは当たり前です。

「見せてはいけないもの」と刷り込まれた価値観から脱するのは難しい(画像:イメージ)
「見せてはいけないもの」と刷り込まれた価値観から脱するのは難しい(画像:イメージ)
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また、私たちは社会生活の中で「排泄物を見せてはいけない」「下の話をしてはいけない」という価値観を刷り込まれています。これらのハードルを越えるのは簡単ではありません。それなのに先輩介護者はどうやって嫌悪感を乗り越えながら排泄介護を続けられているのでしょうか。

その理由は、身も蓋もありませんが、“慣れ”です。

“人間は慣れる生き物”と言われています。時間がかかるかもしれませんが、多くの介護の先輩たちのように「食べたら出るのが当たり前。生きている証拠!」と前向きに捉えられるようになっていくはずです。

専門家であっても難しい

私は排泄ケアを専門としている看護師です。しかし、実母の介護ではとても苦労しました。

周囲の人は「排泄介護は完璧で何も問題はないのだろう」と思っていたようですが、とんでもない。母は、娘である私に排泄介護をされることに対する抵抗感があったため、介護を受け入れてくれるまでに時間がかかりました。