石渡さんによると、将来的に“カカオの需給バランスを保つ”ことが期待されている。消費者にまで広がれば、産地の農家を救うことにもつながるという。
「カカオ不足に対応した商品は、安定供給に向けた“調整弁”の機能を果たしてくれます。
需給の安定を図るためにも、チョコレートの代わりとなる商品が市場に受け入れられ、定着している状態が望ましいです。
弊社を始め、いろいろな企業が商品をどんどん市場に出し、調整弁としての役割を担っていければと思います」
広まるカギは原料と製造コスト?
最近は一部のコンビニやスーパーなどでも代替チョコレートが販売されるようになった。カカオの代わりに“ヒマワリの種”や“ゴボウ”などを原料としているものがある。
不二製油でも2025年、カカオ由来の原料を全く使用しない「アノザM」を発売。業務用として、全国の洋菓子店などで使われている。
しかし、今はまだ代替チョコレートは一般的なチョコレートに比べて見る機会が少ない。“新しい選択肢”として消費者から選ばれるようになるには、“手に入りやすさ”という面も重要となる。
そのためには、「原料の安定調達や製造コストをなるべく抑える必要があります」と石渡さんは言う。
「一般的に、商品の価格には製造コストが影響します。原料を加工する工程が少ないほど、余分なコストを削減でき、最終的に消費者が手に取りやすい価格で販売できるようになります。
また、カカオの代わりに使う原料選びも大切です。弊社のアノザMは、エンドウ豆とキャロブ豆が原料です。国際的に流通しているものなので、割と手に入りやすいのが強みです」
