石川県民が「愛おしい」と思う逸品を紹介する「イトシメシ」今回は石川県小松市にある中華料理店で提供される一品。実はこの店、「餃子」や「塩焼きそば」で毎日行列ができる有名店なのだが、今回、「イトシメシ」として紹介されたのは意外なメニューだった。

創業から64年の餃子菜館 勝ちゃん レバニラ

この記事の画像(35枚)

「私のいとおしい料理は勝ちゃんのレバニラです」

JR小松駅前の街頭インタビューで、男性が語ったこの一言が、今回の取材の始まりだった。レバーに臭みがなく、他では食べたことのない特製ソースが決め手だという。一体どんな料理なのか。今回も石川テレビの『HUBEAT』アンバサダー、彦摩呂さんに向かってもらった。

「お城や」驚きの外観に思わず声が上がる

「僕が想像してたのはあの、中華ののれんの、換気扇黙々で、赤いテーブルで、ちっちゃいこじんまりした町中華を想像しててんけど真逆。お城やん」

彦摩呂さんが、餃子菜館『勝ちゃん』の外観を見て思わず発した「お城」。確かに、一般的な街の中華料理店とは一線を画す立派な建物。これが本当にあの街角で聞いたレバニラの店なのかと、一瞬戸惑ってしまうほどだ。

「中ではどんな出会いが待ってるのか。楽しみやもう。」

いてもたってもいられない彦摩呂さん、さっそく店内へ。

1日300人が訪れる80席の大空間

小松市の餃子菜館 勝ちゃん。店内には80席あり、多い時には1日300人ものお客さんで賑わうそうだ。現在腕を振るうのは、2代目社長の高輪宗己さんと3代目の健太郎さん。親子で小松市民の馴染みの味を守り続けている。

2代目の高輪宗己さん
2代目の高輪宗己さん
3代目高輪健太郎さん
3代目高輪健太郎さん

彦摩呂さん「特にレバニラがおすすめと聞きましたが、早速ですけど、作っていただけますか?」とオーダーすると、高輪さんは「わかりました。これから作らせていただきます」と応じてくれた。

豪快に炒められる新鮮なレバーと野菜たち

丁寧に下処理した新鮮な豚レバーと、もやし、長ねぎ、ニラを、それぞれのベストなタイミングで入れて豪快に炒めていく。完成したレバニラにかけるのは特製ソース。一体どんな味なのだろうか。

彦摩呂さん:
いや、美味しそう。真ん中にちょっと濃い目のソースというか、たれがかかっていますね。

彦摩呂さんの目が輝く。見た目からして、これまで食べてきたレバニラとは何かが違う予感がする。

「うわあ。じゃあ、いただきます」

「レバーの旨味がすごいです」驚きの食感と味わい

一口目を味わった彦摩呂さんの表情が変わった。

「おいしい!うわー、レバーの旨味がすごいです。さっぱりしてるんだけども、ちゃんとした味が、旨味がついてて、驚きなのはこの野菜のこの火が通ったのにシャキシャキですね」

そして、特製ソースをつけてみると…

「てっかてかです。うんまい!。奥深いうまみとケチャップのようなこの優しい酸味と甘みと混じって、さらに味が美味しくなりますね」

彦摩呂さんの味覚が的中した。高輪さんが微笑みながら種明かしをする。

「さすがですね。そうです。隠し味でケチャップが入っています」

彦摩呂さん「任せてください!舌の家宅捜査を呼ばれていますんで。」と嬉しそうだ。

「変わらないっていうのも大事かなと思ってます」創業から64年の歩み

餃子菜館勝ちゃんの歴史は長い。1961年に初代の高縄正勝さんが創業。

4回の移転を経て2012年に現在の場所へ。店が変わっても、変わらない味と思いがあった。

彦摩呂さん「ご主人が2代目なんで、初代から教わったってことですか?」と高輪さんに尋ねると、「そうです。初代からずっともう60年以上になるんですけど、変わらない。その変わらないっていうのもやっぱり大事かなと思ってます。」と答えていた。

味を同じように引き継いで守っていることについて尋ねると、「それはやっぱりプレッシャーですね。でも、昔の味と変わらないねっていわれるは、すっごい嬉しいですね。大事につなげていきたいですね。」と高輪さん。

「小松市民のソウルフード」秘伝の餃子登場

勝ちゃんといえば、やはり、小松市民のソウルフードとも呼べる、創業から味を守り続けている秘伝の餃子だ。

「はい、お待たせしました。これが自慢の焼き餃子になります。」と高輪さん。

多い時で1日4000個から5000個も売れるという、皮から手作りしているこだわりの餃子。パリッとした皮とジューシーな餡が絶妙なバランスを保っている。

彦摩呂さん、まずは餃子を一つつまんで「うわあ。裏側見せますよ。ほら、もう焼き目の裏側がもうもっちりふっくら見てこれ。ちょっとスケルトンで具材が見えてますよ、これ。いや、レースのカーテンや!」

食べてみると、「うま、もう、うわーーーー、おーーーいしい!皮がパリパリで中の餡がうんまい!」と絶賛。

彦摩呂さん「この餃子うんまい!ちょっと食べてみて」と沼本アナにも食べるよう勧める。

沼本アナも一口で「うんーー、肉汁が出てきて皮の厚さもちょうどよいですね、パリパリ感ともちもち感の両方味わえますね!」

「皮も手で伸ばすことによって」職人技の秘密

高輪さんは、 「これ全部手作りなんです。皮も手で伸ばすことによって、皮の1枚の皮の厚さを周りはちょっと薄め、餡が乗る真ん中は厚めで、皮の食感も変えることができます。」とおいしさの秘密を教えてくれた。

手で作るからこそ、皮の厚さを部位によって変えることができる。これが勝ちゃんの餃子の特徴的な食感を生み出している。

「だから、裏ひっくり返したら分かったと思うんですけど、ひだがないんです。」

彦摩呂さんが餃子を裏返すと確かにつるーんとしてひだがない。「手で餡を乗せ、皮を乗せて、具をのせて包んだ時の形なんです。」と高輪さん。

「最後の調味料の合わせに関しては誰も知らない」一子相伝の技

餃子のレシピについて尋ねると、興味深い答えが返ってきた。

「レシピは野菜とか刻んだりする大雑把なことは当然、初代、先輩もいましたから、教えてもらう。でも、この最後の調味料の合わせに関しては誰も知らないんです。一子相伝です。昔の漫画じゃないけれども、親子代々継がれていく。だから、継いだことによって初めて少し認められたかなと。」

まさに職人の世界。最も重要な調味料の配合は、親から子へと直接受け継がれる秘伝なのだ。

受け継がれる一子相伝の味に3代目の思い

そんな一子相伝の味も、今は3代目の健太郎さんに受け継がれている。今年で3年目になるという健太郎さんに、彦摩呂さんが家業を継いだ思いを尋ねる。

彦摩呂さん:
どんな思いでやっぱりこの家に戻ってこうお父さんを手伝おうと思ったんですかね?

健太郎さん:
昔から、社長と、先代、初代のやっぱ背中を見てきたっていうのがあるんですけど。やっぱり、その背中を追って、伝統をつないでいきたいという思いがあります。

健太郎さんの目標は高い。

健太郎さん:
地元だけじゃなくて、全国にもっともっと、名を広めていければなと思います。

彦摩呂さんは「小松に行ったら、石川に行ったら勝ちゃんだよっていうね。」沼本アナも期待を込め「地元の方のホームの中華から全国の方のホームの中華になっていってほしいですね。」

取材を終えて振り返ると、勝ちゃんの魅力は単なる味の良さだけではないことがわかる。1961年に創業した勝ちゃん。3代にわたって受け継がれてきた技術と心意気。そして、お客さんの顔を見て人と向き合って料理を作ることの大切さ。

餃子は冷凍されたものを通販でお取り寄せすることも可能だという。「気になった方は餃子菜館勝ちゃんで検索してみてください」とのことだ。

JR小松駅のすぐそばにある餃子菜館勝ちゃん。ランチは午前11時から午後2時、ディナーは午後5時から午後9時まで営業している。小松を訪れた際は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。きっと、街角のインタビューで男性が語った「他で食べたことないような味」を体験できるはずだ。

餃子菜館 勝ちゃん
石川県小松市土居原町395
昼:午前11時~午後2時(L.O. 午後1時半) 夜:午後5時~午後9時(L.O. 午後8時半)
定休日:水曜・第3火曜
電話:0761-22-4077

(石川テレビ)

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。