鹿児島市で開催された黒牛の枝肉審査会で、県内の農業高校生たちが育てた牛肉が高い評価を受けた。プロの畜産農家と共に競う場で、高校生たちの丹精込めた成果が認められた瞬間だった。
グランドチャンピオンは薩摩川内市の「のざき」
11月25日、カミチクグループ主催の黒牛枝肉審査会が鹿児島市で開催された。会場には44頭の黒牛枝肉が並び、その中には600キロを超えるものも多く、迫力ある光景が広がった。
グランドチャンピオンに輝いたのは、薩摩川内市の農業生産法人「のざき」が育てた黒牛。1キロあたりの単価は5000円で、一頭あたりの価格は約322万円という高値となった。見た目、肉質ともに高く評価された結果だ。
受賞した浦松輝人さんは「本当にすごくうれしい。うれしいしか感じないです。一頭一頭しっかり見て、体調管理などして育ててきた」と喜びを語った。
高校生の部で金賞に輝いた鹿屋農業高校
この審査会では高校生の部も設けられており、県内の4つの農業高校が出品した。その中で金賞に輝いたのは鹿屋農業高校・鹿児島黒牛研究部が育てた牛肉だった。1キロあたりの単価は2900円だった。
鹿児島黒牛研究部は全国和牛能力共進会をきっかけに3年前に発足。部員10人が80頭の牛を育てている。今回の出品牛は細かく入ったサシが特に評価され、4校の中で唯一満点を獲得した。2024年は惜しくも金賞を逃したが、2025年で4回目の受賞となった。
鹿屋農業高校 畜産科2年の郷優絆さんは「まさか自分たちで育てた星が金賞になると思っていなくて、育ててきてよかったなと思う。できるだけにして牛に負担をかけないように育てていた」と受賞の喜びを語った。
厳しい畜産情勢の中での品質追求
会場では多くの畜産関係者がライトを当てて間近で肉の色を見て品質の高さを確かめていた。評価の基準は肉の色やしまり、きめの細かさ、サシの入り具合の4項目で、熊本、宮崎からも上質な肉が揃う中での競争となった。
カミチクの上村昌平社長は「非常にハイレベルな牛を出荷していただいたと思う。エサ代も含めて高騰が続く中、経営状況が厳しいと思うが(農家と連携して)不況を乗り越えていけるよう頑張っていきたい」と語り、畜産業界の現状と今後の展望について触れた。
今回金賞を受賞した鹿屋農業高校の牛肉は、カミチクグループのオンラインショップなどで販売される予定だ。高校生たちが愛情を込めて育てた黒牛の味を、一般消費者も楽しむことができるようになる。
(動画で見る▶600kg超の迫力…鹿児島で行われた黒牛審査会、グランドチャンピオンは“のざき”)
