競りにかけられたのは「最高峰の味」と称される“幻”の食材だ。1キロ10万円を超える値段が付いたその食材とは…。

仲買人が送る“熱い”視線の先には…

2025年11月29日未明、水揚げされたばかりの魚が並ぶ福岡市の中央卸売市場。

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そこにいつもとは少し違う一角があった。活きのいい魚が並べられたその先に、多くの人が集まっている。一体、何が競りにかけられているのか。

鮮魚市場の一角に集まる仲買人(福岡市中央卸売市場)
鮮魚市場の一角に集まる仲買人(福岡市中央卸売市場)

仲買人のひとりに話を聞くと「久しぶりにナガスクジラが入ったんで…。いいですね。“生”というのが、価値があると思う、ナガスクジラの」という。

美しく光沢を放つ赤身にスッと入った上品な脂。“幻”といわれる食材、冷凍されていないナガスクジラだ。大半は冷凍されるため、生肉が供給されるのは漁期終盤に限られ、北海道・苫小牧港で水揚げされたものが空輸された。

体長20メートルを超える堂々とした体躯から“クジラの王様”とも呼ばれるナガスクジラ。

国際的な批判を受け、商業捕鯨が一時停止されていたためナガスクジラも幻の食材となっていたが、2024年から捕獲対象となり、福岡でも競りが行われるようになった。

全国的にみても2025年、最後となるナガスクジラの競りとあって、市場内には威勢のいい声が響き渡った。

最高額となる1キロ当たり13万円

そして…、競り落としたのは『ゆたか水産』(福岡市)の谷崎広樹さん。満足げだが、話を聞くと「クビになりますよ、買い過ぎ!」と笑った。

背びれから尾の付け根にかけての最高級部位でクジラの大トロとも呼ばれる『尾の身』。この日、最高額となる1キロ当たり13万円で落札された。

記者も特別に試食させてもらうことに…。一切れ1300円の尾の身を恐る恐る口に運ぶ。

「ナガスクジラの尾の身、見た目は完全に牛肉の高級な部位、噛み応えはしっかりありますが、脂のサシの部分がすっと溶けていく後に、クジラの旨みが残ります。食べたことないすごい味、おいしい」とご満悦の記者。

競り落とされたナガスクジラの肉は主に、福岡市内の飲食店に届けられるという。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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