熊本大学病院は、肥満症を治療するため胃の一部を切除する手術を、熊本県内で初めて行ったと発表した。熊本県内の肥満症治療の新たな選択肢となることが期待される。
熊本大学病院の肥満症治療センター
熊本大学病院の『肥満症治療センター』は、肥満に糖尿病や高血圧などを合併し医学的に減量を必要とする人を治療するため、2024年11月に開設。2025年8月に熊本県内で初めて、胃の一部を切除する、『腹腔鏡下スリーブ状胃切除術手術』を行ったと、9月26日に発表した。

熊本大学病院の平井俊範院長は会見を開き「肥満症治療センターにおける1例目の手術を無事に終えることができた」と述べた。

胃の4分の3を切除することで、食事量を減らし、食欲を増進させるホルモンの分泌を抑える効果が期待される。
「最後の砦として手術がある」
1例目となったのはBMIが35以上だった、熊本県内在住の40代女性。手術から約1カ月が経過した現在の体重は、初診から約15%減っていて「食欲はあるが、すぐに満腹になる」と話しているという。

熊本大学病院・肥満症治療センターの岩槻政晃副センター長は「外科治療をいきなり入り口としてすることはない。内科治療、もしくは運動や栄養指導だけで改善するのが望ましいが、症例が難しい場合に、最後の砦として手術がある」と述べた。

熊本大学病院によると、熊本県内のBMI25以上の肥満者の割合は、男性が31.7%、女性が25.0%と、糖尿病やその予備群の数は全国2位の多さだという。

手術は、運動・食事療法や内科的治療でも改善が見られず、BMI32以上の人を対象に保険適用で行われ、外来の予約は年内いっぱい埋まっているという。
(テレビ熊本)