災害の発生に備えて食料や生活必需品を備えておくことは重要だが、大雨などによる浸水被害に見舞われると、備えていても水につかって使えなくなることがある。8月に川が氾濫した秋田・仙北市西木町では、被災から1カ月が過ぎ、必要とされる支援物資が変化してきている。
「支援物資」必要なものを自分で選べる形に
8月19日からの記録的大雨で桧木内川が氾濫した仙北市では、西木町を中心に36棟の住宅被害が確認されている。浸水被害で生活に必要なものを失ってしまった人が多く、生活再建や復旧に向けて素早く支援物資を届けることが重要だ。

仙北市災害ボランティアセンターには、企業や個人、社会福祉協議会から飲料水や防寒着、衛生用品などの支援物資が届いている。
上桧木内地区にある交流施設で、被災者の支援拠点となった「山鳩館」には、日本赤十字東北看護大学の教職員や学生が、生活用品を中心に様々な物資を届けた。

中でも女性たちの注目を集めたのが、衣料品が並んだテーブル。「欲しいものがあったらお持ち帰りください」ということで、訪れた人たちは「すごい、すごい」と話しながら、それぞれが必要なものを選んで持ち帰っていた。

仙北市で支援を続ける日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の講師・及川真一さんは「支援物資と聞くと、みんなが一つのものをどうぞという形になると思うが、スーパーマーケットのように色々なものを並べて、自分たちで選んでいける形が重要だと思っている。能登半島地震の時もやってきたが、そういった形で山鳩館でも対応した」と話す。
被災者と対話し変化する需要に応える
パックご飯やカップ麺など食料品はもちろん、衣料品や寝具のほか、ポリ袋や洗剤、食器類まで幅広く生活に必要なものが届けられた。

及川さんによると、水害によって生活用品を全て失った人が多数いるため、コップが欲しい人もいれば、皿が欲しい人、食べ物が欲しい人など、それぞれ今必要なものが違うという。
そこで及川さんたちは、需要のあるものを一通り並べ、会話をしながら今の状況も確認して対応した。
どうする生活再建 被災住民と共に考える
桧木内川の氾濫から1カ月が過ぎ、時間の経過とともに必要なものが変化してきている。

仙北市災害ボランティアセンターでは、復旧活動をより充実させるためにインターネット通販サイトで必要物資を求めている。連日多くの寄付がある中で、現在は床下で作業するためのLEDライトや作業用手袋、充電器、バッテリーなどの需要が高くなっているという。
生活再建と復旧を、住民とともに考え続けることも一つの支援の形だ。

一瞬で失ってしまった大切な自宅にある宝物。家や家財道具も失ってしまった人が多数いる。
及川さんは「家財道具を出して、泥をかき出して、これから自分の家をどうするかなど、被災した人たちは日々悩みながらいる。そうした声を聞きながら丁寧に対応することを心がけている」と被災者に寄り添い続けている。
(秋田テレビ)