9月は「防災月間」。全国各地で大雨などによる災害が相次ぐ中、改めて災害時の備えなどについて考えている人もいるのではないだろうか。災害でライフラインがストップした場合に備えて、カセットコンロや燃料を用意している人は多いと思うが、正しい備えはできているだろうか。改めて選び方から考えてみる。

【カセットコンロ】屋外で使うなら“風よけ”があるタイプを

カセットガスを使った調理器具は、屋外では風の強さや気温に火力などが影響を受ける。火力が弱いと、ガスが多く消費されるだけでなく、調理が進まない可能性がある。

一般的なカセットコンロ(左)と風よけが付いたアウトドア用のカセットコンロ(右)
一般的なカセットコンロ(左)と風よけが付いたアウトドア用のカセットコンロ(右)
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外でも安心して使えるのは、風よけがついたタイプのコンロだ。これは、屋外での利用を想定して設計されている。

一方、室内でしか使わないという場合は、風よけのないタイプを選んでいいだろう。購入前にどのような場面で使うかを考え、自分に合うかどうか確認しよう。

【カセットガス】冬場や寒冷地では“低温時用”の選択も

燃料のカセットガスも2種類ある。

左が低温時用のカセットガス
左が低温時用のカセットガス

メーカーによって性能が異なるが、スーパーマーケットなどで販売されている一般的なカセットガスが使えるのは、外気温が10℃以上の時だ。暑い時期は問題ないが、外気温が10℃を下回ると気化しにくくなる。

一方、低温時用のものは外気温5℃以上が目安。5℃を下回ると気化しにくくなるが、冬場でも使用できる可能性が高い。

正しい使い方と使用期限守り事故防止

選び方と同時に、正しい使い方も覚えておこう。使い方を誤れば事故につながる恐れがあるからだ。

2020年からの5年間に全国で起きたガス缶による事故の発生件数を見ると、2022年と2023年は50件を超えている。そして、2021年と2022年にはそれぞれ1人、2023年は3人が命を落としている(製品評価技術基盤機構NITEのまとめ)。

事故を防ぐためにはどのようなことに気を付ければいいのだろうか。

劣化したガス缶を使った実験では、着火から約30秒でガス缶に引火した
劣化したガス缶を使った実験では、着火から約30秒でガス缶に引火した

経年劣化によってガス漏れが起きているガス缶をカセットコンロに取り付けた実験では、火を付けてから約30秒でガス缶に引火した。

ガス缶、カセットコンロともに期限を確認して使用することが大事だ。また、ガス缶は正しく取り付け、ガス漏れがないかしっかり確認しよう。

カセットコンロを2台並べて使用した実験では、火を付けてから約11分後、左側のカセットコンロは高温によるガス缶内部の圧力異常を検知。安全装置が働き、火が消えた。

鉄板から熱が伝わり左側のカセットコンロのガス缶が破裂
鉄板から熱が伝わり左側のカセットコンロのガス缶が破裂

しかし、鉄板からの熱が左側のカセットコンロのガス缶に伝わり続け、着火から17分6秒後に破裂した。

ガス缶を高温の場所に放置すると、ガスが膨張して破裂する恐れがある。ガス缶は正しく使用するとともに、使用後は機器から取り外し、40℃未満の場所で保管するようにしよう。

【携帯発電機】風通しの良い屋外で使用を

携帯発電機も便利な防災グッズの一つだが、使い方を誤ると命を脅かす可能性がある。

2020年からの5年間に起きた携帯発電機による事故の発生件数は、多い年で9件とガス缶の事故より少ないが、2020年は1人、2021年は3人、2023年は2人が亡くなっていて、死亡事故の占める割合が高いことが分かる(製品評価技術基盤機構NITEのまとめ)。

携帯発電機からの排ガスには、一酸化炭素など人体に害がある物質が含まれている。

屋内で携帯発電機を使用した実験では、使用開始から約8分後、空気中の一酸化炭素濃度は0.2%に到達した。濃度が0.16%に達すると2時間ほどで死に至るため、危険な状態であることが分かる。

携帯発電機は、必ず屋外の風通しの良い場所で使用し、排ガスが屋内に入らないよう注意しよう。また、漏電や感電を防ぐために雨などでぬれないようにしよう。

製品による事故の中には、リコールが始まった後に発生したものもある。リコール情報は、製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite」や消費者庁のリコール情報サイトなどで確認できる。家庭にある製品がリコール対象ではないか、いま一度確かめてみてほしい。

正しい備えと、製品を正しく使用することが事故防止につながる。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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