耕作が禁じられている国有地で不法に畑を作る、通称“ヤミ畑”
国土交通省によると、国が管理する一級河川での「不法耕作」は、全国で796件確認されているといいます。

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愛知県名古屋市の河川敷でも、何十年にもわたって不法耕作が放置されており、住民が不安を訴えていました。

周辺住民:
(川で)何かあった時…洪水とかあるので。基本的には(国からの)許しがないんだったらやめてほしいなっていうのが本音ですね。

周辺住民:
違法だって知っているのでみんな。(耕作の)許可が下りているわけじゃないんで…。

「サン!シャイン」は、横行する不法耕作の実態を取材しました。

“許可を得て”というも少し曖昧

名古屋市内にある、「耕作禁止の国有地」と「私有地」が混在する河川敷。畑作業をしている人物がいたため、取材スタッフが声をかけます。

――ここは私有地ですか?
畑の所有者:

“らしい”です、持ち主はちゃんといるらしいですよ。
それがどんどんお年寄りでいなくなっちゃうから、次から次と譲り受けるというか…。

土地の所有者から私有地を借りて、法を守って野菜作りを行っているという女性。さらに、この河川敷でサツマイモやアスパラ、ナスなどを作っているという男性は。

――あなたの私有地ですか?
畑の所有者:

(自分の土地)ではない。みんな何十年か前から(耕作)やってらっしゃって、知り合いの人からここ空いているから使ってもいいみたいな事を言われた話を聞いてやっているだけなんで。深くは何もわからないです。

こちらも少し曖昧な答えが返ってきました。
今度は、15年この場所で畑をやっているという男性に所有者について詳しく聞いてみますが…。

畑の所有者:
最初の頃は家賃があって地主に払っていたけど…。いまはもうどこがあれ(国有地か私有地か)だとかは分からない。

人から土地を借りたり譲り受けたりする中で、時がたち、現在、誰が地主なのか曖昧な状態になっているといいます。

国有地での不法耕作 洪水被害拡大の可能性

河川敷の取材を続けていると、「国有地」を示す看板の近くに建てられた、資材置き場と思われる小屋がありました。

小屋の近くには耕された畑のうねを虫除けのカバーで覆うなど、本格的な農業をしている形跡が。

小屋を建てたという男性に話を聞くと、許可を得ずに行っている“ヤミ畑”であることを認めました。

不法耕作をしている男性:
(場所を)借りとるっていうか、勝手にやっとるわな、早い話。(育てているのは)ネギだよ。あれは大根、今はえとるやつは。

特に悪びれる様子のない男性。
国交省によると、河川敷の国有地は洪水被害を抑える役割もあり、“ヤミ畑”によって被害が拡大する可能性もあるといいます。なぜ不法行為だと知りながら、国有地で耕作を続けているのでしょうか。

不法耕作をしている男性:
(国交省からやめてくれという声は)あるある。
やめろとは言わないけど、そういうことは言うよ、やるんだったらバーッとやる国交省は。なあなあになっているっていう話、昔から何十年と。どいてくれっていわれたらどくしかないわな、自分の土地じゃないし。

「日本語分からない」不法耕作者とのトラブルも

周辺住民の不安は、“ヤミ畑”による洪水被害の拡大の可能性だけにとどまりません。
不法耕作をする人とのトラブルを訴えるのは、私有地で法を守り、耕作をしている女性です。

畑の所有者:
変なこと言ったら、ヘビ持ってきたりするみたいだよ。ヘビを死んだのを置いて。(不法耕作をする人が)葉っぱもってきたものを植えちゃう、勝手にやっちゃって。
中国の人が、私が一番大事にしていた木をみんな切っちゃって、だから怒った。仏さんにあげる神棚にあげる木。

ヘビを置いたとみられる人物を直撃すると、「日本語はわからない」と話し、聞けば女性は中国人だといいます。

――国有地と書かれていますが
不法耕作をする自称中国人の女性:

はい。

――この場所の権利は国にあるのですが、知ってやっていますか?
分からない。

終始「分からない」と答え、最後には無言でカメラの前から去って行きました。同じグループとみられる別の人物にも声をかけますが、こちらも「分からない」の一点張り。

昨今は、このような外国人による不法耕作も増えているといいます。

国は、看板の設置やパトロールを行い、発見した場合は口頭指導を行うなど対策を行い、全体数こそ少しずつ減少していますが…。

「個人の財産」という側面や、私有地と国有地の境界が曖昧な場所があるなど様々な問題から、行政代執行がなかなかできない状態が続いています。

全国に数多く点在する、不法耕作の“ヤミ畑”。適切な取り締まりが行われ、周辺住民が安心して生活できる日は来るのでしょうか。
(「サン!シャイン」 2025年9月23日放送)