ウィンタースポーツが盛り上がる季節、スキー場での事故や遭難が相次いでいます。

特に、コース外に出てトラブルに発展するケースが多く報告されており、中にはコース外を滑走していたカナダ国籍の女性が、滝つぼに転落して死亡する事故も…。

“天然の雪山”を滑る「バックカントリースキー」。しかし、スキー場のように整備されていないからこそ、思いもよらぬ危険に遭遇することも多くあるといいます。

また、全国スキー安全対策協議会の「スキー場傷害報告書」によると、昨シーズンのスキー場での事故の4分の1以上が外国人観光客によるもので、特にオーストラリアやアジア圏から来た観光客が多いといいます。

『サン!シャイン』は、元スノーボード日本代表で、「池の平温泉アルペンブリックリゾート」のプレイングプロデューサーでもある、成田童夢氏を取材。
見えてきたのは、日本の“ホスピタリティー”の高さが生んだ、「心の緩み」でした。
“コース外滑走”認識の差の問題も
――スキー場での事故が多発していることについて、どのように感じていますか?
成田童夢氏:
日本では「誰かが助けてくれる」と、そういった安心感がある反面、これは素晴らしいことではあるんですけど、そこに頼りっきりになっているというのがかなり多いというふうに思っています。

谷原章介キャスター:
ちゃんと整備されているから、安全な環境って思いがちですけど、やはり自然の中ですから何があるか分からないですね。
特に事故が多く報告されている、コース外滑走。成田氏によると、日本と海外ではここに大きな認識の差があるといいます。

日本では、コース外での滑走は「原則禁止」。コース外を滑走した場合、リフト券没収などの処罰があるスキー場もあります。
一方、海外ではコース外の滑走は「自己判断」。罰則は原則ありません。
国際的な表記やルール統一がないため、進入禁止のロープが張ってあっても、訪日外国人は自国のルールで判断してしまうケースがあるといいます。

北海道では、1月だけで29人がバックカントリーで遭難しており、うち26人が外国人でした。
――コース外滑走での事故を減らすには、どうしたらいいのでしょうか?
成田童夢氏:
やはり日本独自のルールを、しっかりと守ってもらうという必要性があると思います。
海外のスキー場だと、バックカントリーをするという文化がありますので、それを(日本)国内でしてしまうと、こういった事故が起きてしまうと。

谷原章介キャスター:
バックカントリーのルールみたいなものが、日本独自できちんと定まっていないからこそ、外国から来た人も戸惑ってしまうもしくは好き勝手やってしまうということが起こりえているということなのでしょうか?

成田童夢氏:
そうですね、日本で“バックカントリーをする”という文化がそこまで根付いてないというところもありますし、実際、バックカントリーで登山届を出すとか、ガイド+α…バックカントリーの三種の神器というものがあるんですね。
「ビーコン」という、自分の位置を探してもらえる物。GPSですね。そして、「プローブ」と呼ばれる棒なんですけども、もし遭難して雪に埋もれても、棒でつついてどこにいるか探るというもの。そして三つ目に「シャベル」、スコップですね。これで掘り返して遭難者を助ける。この三つは自分が助かるのもそうですし、相手を助けるという上でも必要なんです。こういったものを持っていないと、バックカントリーに行くべきではないと思っています。

――文化の違いもあると思いますが、日本のバックカントリー、コース外滑走の中で、外国人の被害が多い理由は?
成田童夢氏:
そうですね、海外の山というのは横に広いんです。もちろん縦にも長いのですが、横に長いということは起伏が少ないんです。つまり谷が少ないんです。
でも、日本の山は“とんがった山”がたくさんあるので、とんがった山の間が谷になってしまう、(複雑な地形が多く)そこで遭難しちゃうんですね。
成田童夢氏「救助費用、コース外を滑るなら全額自己負担でやるべき」
もしスキー場で遭難した場合、救助費用はどれくらいかかってくるのでしょうか。
成田氏によると、地元消防や警察が出動した場合は、公的な救助活動なので基本的に無料に。
民間で捜索した場合、救助ヘリ・雪上車・人件費・ガソリン代などがかかることから、数百万円単位の費用を負担するケースもあるといいます。
公的な救助隊が出動した場合の費用は、税金でまかなわれるため、自治体の財政負担となります。

海外旅行保険やスキー保険に入っていれば、救助費用がカバーされることもありますが、「禁止エリアへの故意の侵入」は補償対象外になる可能性もあり、最悪の場合は全額自己負担となります。

――救助は無料のものと、費用負担があるケースどちらが多いのでしょうか。
成田童夢氏:
ほとんど無料になってしまいますね。(自己負担は)かなり少ないと聞いています。

――海外はどうなのですか?
成田童夢氏:
海外は、基本的に救助する義務がないんです。
日本はホスピタリティーが素晴らしい国であるからこそ、無料でやってしまっているんですけれども、私の意見としては、「自らコース外を滑ったら、全額自己負担でやるべき」なのではないかなと。そういうふうに思っております。

谷原章介キャスター:
それぐらい危険な行為ということですよね。
いずれにしても、わざわざ楽しみに行ったのに。SNSでよく、バックカントリーで救助される、もしくは見つけて救助するっていう動画があったりするじゃないですか。ああいうのに刺激されて、「自分もバックカントリー行ってみたいな」という人がいるかもしれませんが、そういう危険があるということは、きょうよく分かりましたね。
(「サン!シャイン」 2月4日放送)
