だが、一方、関係者たちの思いは複雑だったようで…。

当時 高知競馬場の広報担当・吉田 昌史さん:
勝ってもらいたいという思いはあったし、ハルウララは毎レースを勝つために走ってましたので…。
高知競馬場 実況アナウンサー・橋口浩二氏:
もうあとちょっとのところで勝ったレースもあった。あのレースはもしかしたらって、希望を持たせた一戦にもなりました。
これが、そのレースだ。
橋口氏の実況:
スタートしました。ハルウララどの馬よりも速いスタートを切りました。
高知競馬場 実況アナウンサー・橋口浩二氏:
思い切って先行逃げるんですよね。逃げて三コーナーぐらいまでは先頭で…。
しかし、結果は…。
高知競馬場 実況アナウンサー・橋口浩二氏:
最後はかわされて、三着になるんですけども。おっ、ていう感じにはなりましたね。
高まる初勝利への期待。

そんな思いで、シャッターを構えていたのは高知新聞の佐藤カメラマン。
高知新聞社・佐藤邦昭氏:
それこそ“負け組の星”というキャッチーな言葉、そこでやっぱり自分を投影できるっていうところがやっぱりあるんだと思うんです。ただ最後は勝ちたいっていうのを、やっぱり連想させるっていうところがあったんじゃないかなと…。
狙ったのが、このアングルだった。
高知新聞社・佐藤邦昭氏:
次、100回目には勝てるかなっていう時の写真ですね。綺麗に後ろに観客がいて、手前にハルウララがいてっていうのが撮れるんじゃないかなと思って構えていたら本当にそれがハマってくれたという写真ですね。こんなふうに撮れることがあるんだなって非常にうれしかった写真ですね。
結局、この時も、勝利には届かなかった。
だが、日に日に増えてゆく客の顔は沈んではいなかった。