食事の際、野菜から先に食べると“血糖値スパイク”を防ぎ、ダイエットにもなる…。そんな情報を見聞きして“ベジファースト”を実践している人もいるだろう。ところが、ベジファーストを実践しても期待する効果が得られない可能性がある。綾部市立病院の糖尿病専門医・大坂貴史さんに、ベジファーストの誤解と、血糖値スパイクを抑える現実的な工夫を聞いた。

血糖値スパイクへの効果は限定的

食後に血糖値が急上昇する“血糖値スパイク”を防ぐためには、野菜を先に食べるベジファーストが良い。そして、ベジファーストはダイエットにも良い、と聞いたことがあるかもしれない。

しかし、これらの情報は誤解だと大坂さんは指摘する。

ベジファーストは血糖値にいい?(画像はイメージ)
ベジファーストは血糖値にいい?(画像はイメージ)
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まず、血糖値の上昇を抑える効果については限定的だという。

「ベジファーストに関する論文はいくつかあり、一定の条件下では効果が示されています。その条件とは、“主食だけを先に全部食べ、その後に野菜を食べる”といった極端な食べ方をする場合です。普通にまんべんなく食べる人と比べれば差はほとんどありません。定食の野菜やラーメンのもやしだけを先に食べるようなベジファーストでは大した効果は見込めないのです」

つまり、野菜を先に食べることを徹底しなくても、主食だけを先に全部食べるような極端な食べ方を避ければ十分ということになる。なお2024年改訂の「糖尿病診療ガイドライン」からはベジファーストは削除されている。

ベジファーストでは痩せない

さらに、ベジファーストがダイエットに良いというのは大きな誤解だと話す。